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「人権侵害」の訴え控訴審で認定

携帯電話加入に外登証提示要求



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免許証、保険証でも可能に
在日2世司法書士「一歩前進」と和解受け入れ

 携帯電話の加入にあたって外国人登録証の提示を求められ、これを拒否したために契約を破棄された在日韓国人2世の司法書士が旧IDO(日本移動通信株式会社)を相手取って損害賠償と全国紙への謝罪広告を求めていた控訴審がこのほど和解、日本人同様に運転免許証や健康保険証で代替できることになった。外国人に対する身分確認手段として外登証の提示を求める風潮に一石を投じたもの。

 東京高裁は12日、原告の鄭英模さんが損害賠償を取り下げるかわりとして、日本移動通信に対する訴訟を引き継いだ株式会社デイーデイーアイに外国籍の加入申込者による加入手続きに十分な配慮をするよう和解条項で示した。これは、鄭さんに対する外登証提示要求を人権侵害として明確に認定したものともいえよう。

 旧日本移動通信は昨年4月、裁判を自らに有利に運ぶために携帯電話加入申し込み手続きの一部を見直し、外国人に対しては運転免許証や健康保険証でも身分確認できることとした。今回の和解条項ではこれを踏まえてさらに慎重な対応を求めているため、少なくとも外国籍の身分確認手段として安易に外登証の提示を求めることは今後できなくなった。

 控訴審は2月から東京高裁で始まった。7月の第2回口頭弁論で結審、すぐに裁判所側から和解勧告があった。鄭さんが裁判闘争に訴えたのは、もとより損害賠償や謝罪が目的ではない。民間会社に不当な取り扱いをやめさせるのが狙いだった。このため、被告が外国人登録証に拘泥する立場を変え、各種公的証明書選択の自由を認めたことは一定限度評価できるとして和解に応じた。


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司法書士証も認めず
契約破棄に至った経緯

 鄭さんは99年11月、都内の家電製品販売店でIDO商標の携帯電話機を勧められ、クレジットカードで契約申し込みをした。

 約30分後、鄭さんが機器を引き取りに出向いたところ、日本移動通信が販売店を通じ外国人登録証の提示を要求したため口論になる。なぜ身分証明書として外国人登録証なのかを問う鄭さんに、日本移動通信は「在留期限確認のため」と回答した。

 実は鄭さんは今回の契約が2台目の追加購入契約であり、1台目を購入した際は司法書士事務所で使用することから司法書士会発行の会員証と宛先が鄭司法書士事務所のNTTの領収書を1カ月分を提示して加入しており、外登証は当時、要求されていなかった。

 鄭さんは、日本人並みの各種公的証明書選択の可能性を奪ったもので内外人平等の原則に反するなどとして昨年3月、東京地裁に提訴したが12月に敗訴判決、ただちに高裁に控訴していた。

(2001.09.26 民団新聞)



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