民団新聞 MINDAN
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1世の苦労むくいたい

6年目迎えた婦人会東京の「東京長寿会」



韓国民謡のリズムにあわせ
顔をクシャクシャにしながら
踊るハルモニたち

◆  ◇  ◆
舞踊や料理、韓国色たっぷり
参加者らに「ふる里」を提供

 今年の長寿会には、お年寄り100人、引率者48人、そして顧問、来賓を合わせて180余人が出席した。

 康会長、婦人会中央本部の夫順末会長、東京地方本部の朱範植副団長らのあいさつの後、最高齢者の練馬支部の梁良順ハルモニ(92)と中野支部の金承俊ハラボジ(82)、そして米寿を迎えた江東支部の金ケニンハルモニ(88)の3人に花束が贈呈された。

 食事を挟んで行われたのが、今年の長寿会でのメインとも言える韓国伝統芸能の公演だ。翌日には東京の日暮里サニーホールでの韓国人間文化財、朴初月さんの追悼日本公演を控えた重要無形文化財クラスの名手たちが今回、長寿会のためにボランティアで出演することを承諾してくれた。

 出演は、韓国パンソリ保存研究会関東支部支部長で、2001年南原春香祭国楽カヤグム併唱部門最優秀賞を受賞した金福実さん、パンソリの重要人間準文化財の趙通達さん、同文化財履修者の全貞敏さんなどのそうそうたるメンバーたちだ。

 中でも全さんと趙さんによるパンソリの歌と演技では、お年寄りたちから大きな笑い声やかけ声がかかるほど。場の雰囲気も最高潮に達した最後の演目「カンガンスォレ」では、出演者、ハルモニ、婦人会の役員なども加わり、踊りを心ゆくまで満喫した。

 86歳のハルモニは「公演は良かった。韓国ノレ(歌)で踊りました。楽しく過ごした」と笑顔で答えてくれた。

 72歳のハラボジは「良かった。毎年続けてほしい」と話した。

 今回、歌とその演技力で大きな笑いを誘った、趙さんは「心が温かくなった。在日1世の方々は大変な苦労を重ね、差別を受けたということを聞いている。今日、ここで演技をしていて1世の方々の郷愁を感じた。自分も手抜きをしないで精一杯やった」と感想を語ってくれた。


◆  ◇  ◆
婦人会東京本部の恒例行事に

 長寿会は、婦人会東京本部の恒例行事の中で、国際文化作品展示会と並ぶ大きな催しに挙げられている。長寿会が産声を上げたのは96年。康会長がまだ副会長の時だ。

 「在日の歴史を築いてきた方を少しでも慰労したい」。当時、同本部内から声があがったものの、「お年寄りを会場まで連れて行き、自宅まで帰すのは大変なことではないか」との反対もあったと康会長は当時を振り返る。

 同年、そんな中で第一回目の長寿会を実施した。2回目以降は参加者の評判に委ねる形で船出したが、予想に反し「来年もやってほしい」という声が多くあがった。

 康会長は婦人会東京本部の会長に就任して以来、今年で5回目の長寿会を迎えた。当初、メンバーらとともに、席の配置にも試行錯誤したという。3回目からは、それまでパーティー形式だった食事を弁当に変えた。清潔で食べやすくしたいという配慮からだった。


◆  ◇  ◆
入念な打ち合わせでもてなし

 長寿会の開催当日ギリギリまで、入念な打ち合わせを行った。「用意周到で本番に望みます。失敗談は特にないですね」と自信に満ちた答えが返ってきた。準備段階をも含め、役員らの機敏な動きと結束力が見てとれた。

 康会長の毎回の心配ごとは「お腹を下す人がいないか、無事、家路に着けたか」ということ。そして、常に念頭に置くのは「お年寄りのために韓国の伝統文化を披露したい」ということだ。

 今年は、お年寄りに本場韓国のパンソリをプレゼントした。

 「各地域で貢献した1世の方々に出会うと胸がジーンとする。韓国的な色彩を出し、昔の郷愁を感じていただくことで、せめて1日だけでも心ゆくまで楽しんでもらいたい。今日、会が終わり、来年も来られるかと泣いている方がいた。次も頑張りたい」と康会長は無事に終えた安堵感と、来年への意欲を見せた。

 「良かったよ」「楽しかった」。21日、東京・南麻布の民団中央会館で開かれた婦人会東京本部(康仁順会長)主催の「第6回東京長寿会」では、例年にない盛り上がりを見せた。今年は、韓国から重要無形文化財クラスの名手による韓国伝統芸能の公演が行われ、舞台に駆け寄り、踊り出すハルモニたちが続出するなど、お年寄りたちの思い出として刻まれたようだ。

(2001.0926 民団新聞)



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