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焼肉店を狂牛病問題から救おう




 今、日本は空前の韓国ブームです。日本からの韓国観光客も年間200万人以上。この夏、歴史教科書問題や靖国神社参拝問題などで多少影響は見られたものの、ソウル市内は今でも日本からの観光客でにぎわっています。

 それに連動するかのように韓国食もブームを呼び、キムチを筆頭に今や様々な韓国料理が日本の中で完全に市民権を得ています。


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「同胞地場産業」の危機

 新宿のコリアンタウンを筆頭に渋谷、横浜、錦糸町、大阪などに「東大門」がオープンし、全国各地の韓国ショップは元気な姿を見せています。

 しかし、在日同胞の「地場産業」のひとつでもある「焼肉店」が最大の危機に直面しています。狂牛病騒ぎのためです。

 全国に約2万と言われる焼き肉店。その大半は在日同胞が営んでおり、それぞれが味付けや新メニューを研究しあい、日本人や海外からの観光客にも愛される美食として、日本社会に親しまれてきました。

 それこそ過当競争とも言える業種ですが、狂牛病問題以降、各店舗の売上高は5割〜8割減、一部の地域では学校給食からも牛肉メニューが消えているといいます。

 朝日新聞社がこのほど実施した全国世論調査によると、4人に1人が牛肉を食べるのをやめ、食べる回数や量を減らすようにしている人を含めると、6割が牛肉を控えています。この病気に少しでも不安を感じている人は全体の9割にのぼり、食生活へ深刻な影響を及ぼしていることがうかがえます。

 政府の一連の対応には82%が「問題があった」と答えました。国内での狂牛病発生を防げず、初感染をめぐって訂正発表を繰り返したことなどが背景にあるとみられます。

 半面、牛肉をこれまで通り食べている人は、全体の26%。牛エキスを含む加工食品については「これまで通り」が54%。「食べるのをやめた」は28%にとどまりました。牛肉、加工食品ともに主婦層の4割が「食べるのをやめた」と答えるなど、男性より女性が避ける傾向が強いことがわかりました。

「信用回復」へ日本政府は全力を

 日本政府は、狂牛病の感染源とされる肉骨粉の使用を禁止し、18日からは食肉用のすべての牛を検査しました。こうした対策で、大半の人が「解消される」と答えています。

 しかし、「狂牛病」というレッテルを貼られ、失った信用を回復することは並大抵のことではありません。

 日本政府は営業の危機に陥った焼肉店に対して公的資金を使った特別融資を実施しています。それだけでなく検査で「シロ」となった牛肉の給食復帰、卸売業者、と畜産業者、食肉加工業者など関連産業体単位での「安全宣言」実施など、牛肉の信用回復に全力を尽くすべきでしょう。

(2001.10.24 民団新聞)




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