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「安全」広報強化融資対象の拡大小泉首相らに要請

「狂牛病」騒ぎに金・民団中央団長



福田官房長官(右端)に「要望書」について
説明する金宰淑団長(左から2人目)ら

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「焼肉店等救済へ」官房長官、農水相と面談

 狂牛病(牛海綿状脳症)による騒動で在日同胞をはじめとする焼肉店など関連業界が売り上げ不振など深刻な打撃を受ける中、民団中央本部の金宰淑団長らは5日、小泉純一郎首相ら関係各省に牛肉の安全性を立証する広報強化や狂牛病対策緊急窓口制度の実質的な反映を要望した。

 金団長と呂健二副団長は5日午後、公明党の草川昭三副代表(参院議員)とともに首相官邸に福田康夫官房長官を訪ねたのに続き、武部勤農林水産相と会い(朴平造北海道本部団長も同行)、狂牛病騒動で在日同胞の基幹産業とも言える焼肉業界が打撃を受けている状況を伝え、安全宣言の広報強化や緊急融資制度の適用対象の拡大を訴えた。

 金団長らは、経費を最大限切りつめ、年末年始で売り上げが60%程度回復しても、すでに体力的な余力はなく、大手・中小とも閉店に追い込まれる可能性が非常に高いと訴えた。また、欧州や韓国でも安全性の広報を強化することで比較的短期間で終息した経緯を明らかにしながら、広報強化や各自治体に学校給食への牛肉使用の復活指導など日本政府の積極的な対応を求めた。

 さらに金団長らは、国民金融公庫などが緊急支援融資を実施しているが、家族経営の焼肉店が明確な帳簿など必要な書類が整わずに融資を受けられていない現状を指摘、融資を受けられるようにしてほしいと訴えた。

 呂副団長も、もともと在日同胞の歴史的経緯から職業選択の幅が狭かったため、焼肉業界の6割が在日同胞であり、あまりにも深刻な現状を伝えた。

 福田官房長官は、業界が非常に厳しい状況にあることを認識した上で、「できることはやりたい。一緒に考えていきましょう」と政府の支援を約束した。

 武部農林水産相は「学校給食での牛肉使用再開を強く呼びかけている。大臣が『安全宣言』しても信じてもらえないが、学者が言ってくれるようになり信じてくれるようになった」と強調、官房長官とも相談して「不安の解消」に全力を挙げることを約束した。同席した農水省の担当者は「融資は中小零細企業向けなので、わからないところがあれば、役所の方に経営者が直接電話を入れてほしい」と表明した。

 現在、焼肉店は2万店舗、年間販売は7000億円、業界の6割が在日同胞で占められるといわれる。

 ▽「BSE(狂牛病)関連つなぎ資金」制度全体についての問い合わせ・相談窓口=飲食店営業の場合:農林水産省総合食料局食品産業振興課外食産業室 電話03-3502-8111(内線3217)


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要望書の骨子

 在日同胞社会の基幹産業ともいえる焼肉業界の売り上げは前年比7割から8割減という深刻な打撃を受けている。まして家族経営の零細店舗はもっと大きな打撃を受け、すでに閉店した所も多数ある。

 年末年始で売り上げが60%程度回復しても閉店に追い込まれる店舗が急増する事態に陥っている。在日同胞の権益を擁護する立場の民団は黙過できず、適切な対処を要望する。

1、安全宣言に基づいた牛肉の安全性を立証する広報活動の強化

2、感染ルートの徹底した究明

3、安全宣言以前に流通している牛肉等への対処

4、学校給食等、行政側での牛肉の利用促進

5、「狂牛病対策緊急窓口」の実質的な反映、「小売業者(焼肉店等)の簡易融資制度」の確立

(2001.11.07 民団新聞)



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