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南北合意事項の誠実な履行を




 第6回南北長官(閣僚)級会談が次回会談の日程を含め、なんの合意もなく決裂しました。昨年6月の南北首脳会談で発表された「6・15共同宣言」の総括・履行機関役として構成された南北長官級会談が成果なく終わったのは今回が初めてです。南北関係は相当期間小康局面が続くと憂慮されます。


◆「離散家族再会」またも先送り

 これにより第4回南北離散家族訪問団交換の年内実現は事実上不可能となりました。同訪問団交換は、9月の第5回長官級会談で、「民族の名節である秋夕に合わせて10月16日から18日までソウルと平壌で同時に実施」することで合意をみていましたが、実施4日前になり北韓側が一方的に延期させたものです。離散家族再会定例化のための常設面会所の設置は、さらに遠のきました。

 今回の会談では北韓側が、離散家族訪問団交換を既存合意・慣例どおりの「ソウル・平壌」ではなく「金剛山」で行うことを提案して譲りませんでした。このため、韓国側は「離散家族再会実現」を最優先して「金剛山」に譲歩しその結果、「12月中実施」で原則的に合意をみた、と伝えられました。

 ところが北韓側が、南北経済協力推進委員会第2回会議(当初10月23日から26日まで)についても「金剛山開催」(12月初)を主張し、次回の長官級会談については「韓国側のテロ非常警戒措置の今月中解除を先決条件としてのソウル開催同意」を主張して譲らず、会談の決裂をもたらしました。いずれも「南北交互開催」の慣例からして「ソウル開催」で事実上決まっていたものです。


◆「信頼醸成」に反す北韓言動

 韓国のテロ非常警戒措置は、米国同時多発テロに伴うもので、国際的テロ防止に主目的があり、北韓を特に対象にしたものではありません。市民の日常生活に変化はなく、海外からの観光にもまったく支障がありません。「われわれを対象にした挑発行為だ。不安定な情勢で、安全でないソウルでの南北会談や離散家族再会はできない」との北韓側の主張にはうなづけません。

 それでもなおかつ「非常警戒措置」を懸念し重大問題視するならば、北韓は南北軍事会談の即刻開催を提案し、同問題を論議してしかるべきでしょう。南北双方は昨年11月の第1回国防長官会談で「緊張緩和と恒久的で強固な平和の実現」に「共に努力していく」ことを確認しているからです。今年2月には第2回国防長官会談が想定されていましたが、北韓側が応じず今日に至っています。

 そもそも、合意事項の一方的変更や実施先送りは、「6・15共同宣言」の精神に反します。南北間の相互信頼醸成と緊張緩和、関係改善推進のために、「離散家族の再会・定例化」などを含む、合意事項の誠実な履行を望んでやみません。

(2001.11.21 民団新聞)



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