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新宿に「高麗博物館」オープン

古代からの韓日交流史が一堂に



韓日交流に関する
パネルなどを展示する館内

 韓半島と日本の長い善隣友好の歴史にスポットをあてた「高麗博物館」(東海林勤理事長、宋富子館長)が8日、東京・新宿区大久保にオープンした。構想から11年、在日同胞と日本人が力を合わせてつくった市民手作りのミニ・ミュージアムだ。韓日交流史をテーマとした博物館は日本ではこれが初めてという。

同胞・市民力合わせ


 「高麗博物館」が開設されたのは、大久保1丁目と歌舞伎町2丁目にはさまれた通称「コリアンタウン」の一角にある雑居ビルの9階。ハングルの看板を掲げた飲食店や食料品店などが立ち並ぶ食文化の街に新たに文化的な彩りを添えたかっこうだ。

 フロアは全体で20坪の広さ。決して広くはないが、韓半島と日本の交流史をコンパクトに学べる工夫が施されている。

 パネルでは聖徳太子が百済から派遣された慧慈(ヘジャ)から仏教を、覚熙(カッカ)から儒教や政治の在り方を学んだ事実を掘り起こし、支石墓や古墳の中の壁画を対比させて類似点を想像させるなど、韓半島と日本列島が古代から密接なつながりのあったことなどを紹介している。

 古代から近・現代に至る年表でも一時期、戦乱はあったが、それ以上に「より長い善隣と友好の関係を結んできた」ことを訴えている。それを証明するかのように年表の下には通信使人形100体がガラスケースに収められている。

宋富子館長

 このほか、中央ガラスケースに国宝首飾りと耳飾りのレプリカ、後ろ正面には大人の背丈ほどもある高麗時代に作られた螺鈿箪笥が置かれている。小さな螺鈿テーブルを置き、カーペットを敷いた約4畳半ほどのスペースは談論の場としてある。

 「高麗博物館」開設の構想は90年9月、多摩地区の市民を中心にスタートした。周囲からは「夢のような話」と揶揄されながらも在日同胞と日本人市民が協力しながら会員を募り、賛同者を450人にまで増やし、この10年余りで約600万円の開設準備金を蓄えてきた。今年に入って在日同胞実業家が自社ビルのワンフロアを安価で貸与してくれたことで、長年の夢である「高麗博物館」開設が実現した。

 在日三代史を一人芝居で演じながら「高麗博物館」開設の夢を訴え、コツコツ会員を増やしてきた宋富子さん(61)は「在日の子には古代のさわやかな交流を知ってルーツに誇りを持ってほしい。日本の子も聖徳太子や王仁博士のことを知ればそこから信頼関係が生まれるはず」と期待している。

 「高麗博物館」は新宿区大久保1の12の1、第2韓国広場ビル9階。開館時間は午後1時から7時まで。入場料200円(18歳未満100円、小学生は無料)。毎週月・火曜日は休館。電話・FAXとも03(5272)3510まで。

(2001.12.12 民団新聞)



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