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同胞高校生が就職差別に不安感

奈良県外教が実態調査



日本社会の厳しい現実を意識

 【奈良】奈良県外国人教育研究会(高西勉会長=天理市立前栽小学校長)はこのほど、「01年度在日コリアン生徒(新入生)の実態報告」の結果をまとめ、公表した。

 これは奈良県内での在日同胞高校生に関わる取り組みの基礎資料として教員を通して毎年実施しているもの。調査の結果、在日同胞生徒を取り巻く日本社会の厳しい現実、矛盾があらためて浮き彫りになった。

 今年度の在日同胞新入生は公立、私立合わせて30校で73人だった。このうち日本国籍の11人を除く62人に名前について聞いたところ、民族名で通学していたのは12人だった。

 自らの立場をどう考えているかとの設問には「あまり深く考えたことはない」「特に意識したことはない」「韓国人としての自覚はあるが特に意識をすることはない」という一方で、将来の展望については「就職について少し不安」「就職や結婚などに不安を感じるときもあるようだ」との記述もあった。

 日本名で通学している生徒については、「中学時代は親しい友人には自らの国籍を話していた」という記述もあったが、「あまり触れられたくないようである」「外国籍である事を他の生徒にあまり知られたくない」「外国籍であることは知っているが、周囲には秘密にしている」例が目立つ。

 なかには「中学のとき親から自分の立場を聞き、日本人でなくていやだなと思った。在日をとりまくいろいろな差別があることを意識している」など在日同胞生徒を取り巻く日本社会の厳しい様子がうかがわれる。 今回の実態調査について県外教の桝井久事務局長(県立高取高校教諭)は「在日コリアンを取り巻く現況は、戦後50数年たった現在でもなお厳しく矛盾も浮き彫りにされた。まず、教員が差別の実態と現状を深く把握していくことこそが重要です。そのためにも生徒との日常的なかかわりがますます必要になってきている」と話している。

(2001.12.12 民団新聞)



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