民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
金宰淑民団中央団長新年辞



地方選挙権付与法案の行方
正念場の年:団結して力強く前進を

同胞社会の明るい未来像提示へ

「共生」実現へ参政権に継続全力
サッカーW杯成功、韓日の架け橋役強化
同胞経済の基盤固め発展めざす


 親愛なる在日同胞の皆さん!

 2002年の新春を迎え、在日同胞の皆さんに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

 昨年、21世紀の幕開けに際して、私は人間が人間らしく生きていくことのできる人権尊重の世紀となるよう希望を託しました。

 ところが、在日同胞にとって焦眉の課題であった「地方選挙権法案」は、私たちの地道な努力にもかかわらず、国会で審議もされずにまたもや先送りとなりました。

 私たちは日本当局の不誠実な対応に抗議し、一日も早い法案成立を求めるために6月5日、東京の日比谷野外音楽堂で決起大会を開催しました。この大会には全国から4000人が結集し、民団の底力を内外にアピールするとともに、法案成立に向けて不退転の決意を再確認しました。

 保守派による根強い反対論があることは承知していますが、日本の世論の多数は賛成しています。連立与党間の公約事項でもあり、さらには韓国との信義の問題でもあります。日本政府は解決をいつまでも先送りするわけにはいかないでしょう。

 昨年12月に開かれた韓日・日韓議員連盟の合同総会では、今年1月から始まる通常国会での選挙権法案成立推進を日本側代表団が表明しました。

 また、一つの朗報として、韓国の地方選挙権の動向が伝わってきています。韓国では、6月に予定されている地方選挙から定住外国人にも選挙権を認めることで与野党が合意しました。5年以上居住する20歳以上の外国人が対象ですが、これはW杯を控えて国際化への対応策であると同時に、在日同胞の参政権に追い風になるとして英断が下されたものです。

 1月の通常国会を皮切りに、在日同胞と日本人との共生を実現する参政権獲得に全力を傾けていきます。

 親愛なる在日同胞の皆さん!

 今年は2年越しの「韓国訪問の年」であり、「韓日国民交流の年」でもあります。また、5月末からは世紀のイベント、サッカーのワールドカップ韓日大会が待っています。その後、釜山ではアジア大会も開かれます。

 昨年、韓日間は「歴史教科書問題」や小泉首相の靖国神社参拝で大きく揺れました。そのあおりで民間交流イベントが中断に追い込まれたのは、非常に残念なことでした。

 私たち在日韓国人は韓日の架け橋として、揺るぎない韓日関係構築と友好交流の発展に力を尽くしたいと思っています。ワールドカップという大きなイベントに、在日韓国人後援会を軸に民団が奉仕することで、在日韓国人の存在と民団の役割を世界にアピールしていきます。

 親愛なる在日同胞の皆さん!

 日本の長引く経済不況に伴い、私たち同胞の民族金融機関が破綻、統合という事態を迎えています。また、在日同胞の基幹産業の一つである焼き肉業界が「狂牛病」騒動によって、苦しい経営を強いられています。

 明るい未来像を描くには厳しい条件が重なっていますが、私たちは裸一貫で玄界灘を渡り、今日の在日同胞社会の基礎を築いた1世のバイタリティーを覚えています。競争社会を生き抜いてきた2世の反骨精神も知っています。絶望の淵から希望を見いだすためには、同胞の団結しかありません。困難であればあるほど、私たちには団結した力が必要です。

 今年4月からのペイオフ解禁に対応するため、各地域の同胞経済を支える、健全で信頼できる民族金融機関が必要です。既存の信用組合はこれまでの実績を土台に、統合・再編による新たな同胞経済の基盤づくりと発展に向け、邁進していくことを確信しています。

 様々な課題遂行において、今年は正念場の年になると思いますが、私は在日同胞の先頭に立ってこれからも力強く前進していくことをお約束いたします。

 2002年が在日同胞一人ひとりにとって幸多い年になることをお祈りするとともに、同胞の皆さんの厚いご支援を心からお願いしながら新春のごあいさつといたします。

(2002.01.01 民団新聞)



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