民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
なるか軍事境界線・DMZ一部開放



韓国側は昨年9月に京義線の臨山〜臨津江駅間
を復旧させ運行を開始した

南北関係進展占う指標に

 昨年は、前年の南北首脳会談と「6・15共同宣言」に基づいた南北の和解・協力関係の着実な進展が期待された。だが、南北関係は期待を裏切り足踏み状態が続いた。昨年秋までには完成すると内外に喧伝された京義線(ソウル〜新義州)の再連結工事は韓国側だけ進展、北側は、未だに着手すらしていない。南北協力のもう一つの「目玉」、金剛山観光事業は、観光客の急減と、活性化のための陸路観光ルート新設協議や観光特別区指定を北韓側が先送りしたために事業継続が困難視されている。京義線の復元と陸路観光ルート新設は、南北分断・対峙の象徴である南北軍事境界線・非武装地帯(DMZ)の一部を双方が協力して開放、風穴を空ける画期的な事業である。今年こそ京義線を速やかに再連結させ、金剛山陸路観光のためのルートも年内に開設できるよう「公約」の誠実な履行が望まれている。(編集委員・朴容正)


京義線鉄道の再連結和解・協力≠フ象徴的事業
韓国側はDMZ直前まで進む

昨年秋には実現のはずが…

 京義線鉄道の再連結は、金大中大統領が南北首脳会談(2000年6月、平壌)後の帰国会見で言及するなど、経済の均衡発展と交流・協力活性化(6・15共同宣言)に向けた最初の南北共同事業と位置づけられたもの。南北和解・協力時代「開始」の象徴的事業である。

 南北は、「6・15共同宣言」に基づいて開かれた第1回南北長官(閣僚)級会談(同年7月)で京義線の断絶区間連結に正式合意。断絶区間は、韓国側の臨津江に近い?山から長湍間12`と北韓側の長湍から開城の南にある鳳東間8`の計20`。第2回長官級会談(同8月)では京義線に並行する南北連結道路の建設(?山〜開城間)にも合意した。

 韓国は、翌9月に京義線鉄道復元・道路新設工事起工式を坡州・臨津閣で金大統領参加の下に盛大にもち、1年後の南北再連結実現に強い期待を表明した。

 南北を結ぶ京義線の復旧および並行道路の新設は、分断・対峙の象徴である軍事境界線およびDMZに風穴を開けるもので、南北軍当局間の協力なくしては不可能である。しかも、京義線および貫通道路によって、南北間で大量陸上輸送が可能となる。南北経済協力の大動脈となるにとどまらず、中国・ロシアと鉄道・道路でつながり、シベリア横断鉄道を利用して欧州への貨物輸送も可能となるなど、その経済的波及効果が大きいからである。

 だが、南北間の平和定着なくしてはDMZの恒常的開放は不可能である。DMZ開放を一時的なものに終わらせないためには、南北間の軍事的緊張緩和と相互信頼関係の構築が不可欠であり、そのための協議が継続推進されなければならない。

 同年9月に開かれた第1回国防長官会談(北側は人民武力部長官)では京義線復元に関する軍事実務会議の実施に合意。昨年2月には、南北軍実務会議でDMZ内の地雷除去と鉄道復旧・道路建設作業に関する41項目の「共同規則」に最終合意し、直ちに双方国防長官の署名・交換後に発効させることになり、韓国側の期待は膨らんだ。

 ところが、その直後、北韓側が突然、「行政上の理由で応じることができない」と署名保留を一方的に通告。しかも同月に予定されていた第2回南北国防長会談まで取り消し、軍事的緊張緩和措置と相互信頼醸成問題の協議開始を避け、今日に至っている。北韓軍部が強く反対しているためと推測されている。

 韓国側は、昨年9月までに?山〜臨津江駅間の6`を復旧させ、51年ぶりに同区間に列車を運行させた。さらにDMZ間近の都羅山駅までの約4`区間での工事も進んでいる。

 北韓側は、金正日国防委員長自らが一昨年8月の段階で「南側が(京義線復旧工事を)開始すれば、われわれも着工する。着工日さえ合意されれば、38度線付近の2個師団3万5000人を動かして直ちに工事に投入する」と明言していた(韓国マスコミ社長団との歓談で)。だが、この間、準備作業らしき動きを一時示しただけで、未だに工事に着手していない。本来なら、雪解けを待って昨年3月末頃から南北双方が同時にDMZ内の地雷除去などの作業に入り、遅くとも昨年中には再連結可能、と韓国側では展望していた。

 昨年9月、9カ月ぶりに再開された南北長官級会談(第5回)では、「共同規則」の発効次第、DMZ内の工事に着手して早期に京義線を再連結させることに合意。10月に開かれる第2回南北経済協力推進委員会で具体的に協議することになっていたが、同委員会を、またも北韓側が一方的に無期延期させた。

 韓国内の一部では、「金正日国防委員長のソウル答礼訪問」は「昨年内に京義線に乗って」との希望的観測をする向きもあったが、結局片思い≠ノ終わった。京義線再開通は、依然北韓側の態度にかかっている。

(2002.01.01 民団新聞)



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