民団新聞 MINDAN
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ゲーム感覚でウリマルを学ぶ
オリニの表情は楽しさいっぱい

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大阪・生野コリアンアカデミー

同胞多住地で25年の歴史

 日本最大の同胞密集地域、大阪市の生野区。当然、民族教育の熱が高まるのも早かった。

 生野区には、東西南北分かれて4つの民団支部が存在する。生野西支部の会館を利用して同胞子弟の民族教育を始めたのは76年にさかのぼる。

 「生野韓国学院コリアンアカデミー」だ。すでに25年の歴史を誇り、93年に土曜学校が提唱された時も、アカデミーで十分に対応することができた。というよりも、土曜学校制度よりも早く、同様の民族教育を実施していたことになる。

 アカデミーは韓国語の授業を中心にして行われる。しかし、ガリガリの語学教室ではない。スイカ、飛行機など様々な絵が描かれたカードを利用して、ゲームを織り交ぜながら学ぶオリニの表情は、楽しさいっぱいだ。

 まずは単語が耳から自然に入るような授業を進め、最終的にはハングルを文字として認識できるまでになるのが目標だという。

 また、母国語を学ぶことによって、民族的なアイデンティティを持ってもらいたいという願いから、遠足、料理づくり、誕生日会も随時取り入れている。

 毎週水曜と土曜の午後5時から授業が始まる。現在は低学年が17人、高学年が10人ほど通っている。密集地の大阪にしては参加者が少ないように思えるが、もともと市内の多くの小学校には民族学級や民族クラブが存在する。多くのオリニは自分が通う民族学級・クラブで課外授業を受けているためだ。

 生野区の御幸森小学校は、在籍児童の7割以上が同胞だが、アカデミー設立当初は民族学級は無かった。この学校の生徒を中心に呼びかけたのがアカデミーだ。

 事務局は4支部持ち回りで、現在は生野東支部が担当する。児童を教えるのは張叶実さん(36)と安慶子さん(19)、姜朝子さん(35)の3人。張さんは、小学校時代からアカデミーで学んだ卒業生だ。オリニ事業の大切さを感じて8年前に講師として戻った。安さんは建国中・高で学び、姜さんは金剛学園で教師を勤めた後、語学留学の後に講師として就任した。3人ともオリニ事業に対する熱い思いは同じだ。

 昔は2つの教室がいっぱいになるほどオリニが参加したが、少子化から減少しつつある。半面、韓日の国際結婚から生まれたダブルの子どもたちが増えている。

 同地域はプラスチック成形など町工場の下請け、孫請けで生計を立てる同胞が多く、昔は家の手伝いを逃れたかったり、父母から強制されてイヤイヤ門をくぐる児童が多かった。

 今は、ウリマルを覚えたくて机に向かう児童が増えつつあるなど、様変わりしている状況があるという。

 アカデミーを出て、大阪外大の朝鮮語学科に進む者や本格的な韓国語講座で学ぶ卒業生も多い。高校や大学生になった卒業生と道ですれ違った時、「ソンセンニム」と挨拶されると「アカデミーに通ったことを忘れてないな」と嬉しくなると張さんは語る。

 25年の歴史を経て、在日オリニのアイデンティティは着々と積み重ねられているようだ。

(2002.01.01 民団新聞)



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