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在日へのメッセージ

塚本 壮一(NHK国際部記者)



IT時代の日韓若者交流

 東京とソウルとを結んで行われたコンピュータの「オンライン・ゲーム」の実演を見た。双方のプレーヤーは離れていながら、高速インターネット回線によって、リアルタイムで同じゲームに参加できる。

 このゲーム、ちょっとした日韓若者交流を実現する。共通の敵を倒すため、双方が協力しあうのである。日本のプレーヤーが敵に迫られ、チャット(パソコン上の文字による会話)を使って「HELP!」と打つと、それを見た韓国のプレーヤーが援護してくれたりするのだ。ゲームが終われば、チャットで互いの健闘をたたえあう。

 それで思い出したのが、釜山国際ロックフェスティバルで取材した日韓の若者である。日本の歌手として初めて出演したロックグループのファン達で、その結束ぶりだ。

 ロックグループが日本で新曲を発表すると、すぐに日本側のファンがCDを買って歌詞を電子メールで韓国に送る。それを日本語がわかる韓国人ファンが翻訳し、韓国各地のメンバーに向けてメールを配信。この間、わずか2時間という。

 こうした日韓の若者層をターゲットにしたビジネスも始まっている。オンライン・ゲームの実演を仕掛けたのは韓国のIT(情報通信)関連企業、釜山にロックグループを送ったのは日本の芸能プロダクションだった。企業の盛んな動きが交流の広がりを加速させている。

 リアルタイムの日韓交流。こんなことができるようになったのも、韓国政府がIT振興と日本の大衆文化の開放を進めたおかげだ。このところ求心力の低下ばかりが目立つ金大中大統領だが、これは功績といえるだろう。 (2002.01.16 民団新聞)



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