民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
出自肯定派が微増

既成観念覆す同胞高校生



奈良県外教調査85、98年の比較から
友人に国籍隠さず38%が半数に
本名を名乗りたい5%が13%に

 【奈良】奈良県内80数校の公・私立高校に通うすべての韓国・朝鮮籍生徒を対象に85年と98年に実施した意識調査を比較した結果、この13年間で「在日」をありのままに生きたいという生徒が着実に増えるなど、個別多様化しつつある在日同胞生徒の意識実態が浮き彫りとなった。調査にあたった奈良県外国人教育研究会は「在日韓国・朝鮮人の世代交代・定住化とともに民族意識は希薄化するもの」という教師や日本人生徒たちの固定観念を改めなければないと話している。

 奈良県外国人教育研究会は在日外国人教育を進めようという県内の保・幼・小・中・高の教職員で構成されている。今回の調査は当該生徒の担任と県外教推進委員が面接方式で実施した。

 調査項目は「いつごろ在日韓国・朝鮮人であることを知ったのか」「韓国・朝鮮人であることを知っていることを周りの生徒にどれくらいいるのか」「自分の本籍地は知っているのか」「韓国・朝鮮について学習をしたことがあるのか」「本名を知っているのか」「本名についての意味」「外国人登録証明書の常時携帯義務についての考え」「帰化について」など30項目。85年、98年とも設問は同じ。

 85年には対象者の8割を超す172人の生徒から回答を得た。98年の調査では対象者244人中136人から回答があった。回収率は55・7%。

 友人関係における変化では、自分が韓国・朝鮮人であることを「クラスの大部分が知っている」が17・6%(前回8・2%)、「校内の特に親しい友人に話している」が51・4%(前回38・6%)といずれも前回より増えている。また差別的な会話を聞いたことのある生徒も減っている。一方では韓国・朝鮮に関することが話題に上ることも少なくなっている。

 民族についての意識の変化を見ていくと、80%の生徒が「日本に住みたい」と答えており、前回(69・6%)よりも増えている。また、民族名については「日本のなかで生きていくのだから通名でよい」と答えている生徒が前回と同じく約半数いるが、「自分も名のりたい(名のっている)」生徒が13・2%と前回(5・8%)より増えている。

 奈良県内では86年に県教委が「在日外国人(主として韓国・朝鮮人)児童生徒に関する指導指針」を策定、90年には奈良県外国人教育研究会が結成され、各学校で在日外国人問題が年間計画に位置づけられるなどして取り組みが進んでいる。

(2002.01.24 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ