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民族金融問題に関する談話〈全文〉



存続・発展へ全同胞の力結集
現存・引受信組を全面的支援

 破綻していた福岡商銀、関西興銀、東京商銀、京都商銀の4信組の管財人団は、それぞれ優先交渉先であった近隣信組の適格性を認定し、事業譲渡契約書を締結した。

 この締結によって、一年以上にわたって在日同胞社会で物議を醸してきた、破綻した韓信協信組の事業譲渡先が先週末破綻した千葉商銀を除き全て確定したことで、在日民族金融問題は新たな段階を迎えた。

 民団は、この間、中小・零細企業が圧倒的多数を占める在日韓国人社会の現状、並びに2002年4月からのペイオフ解禁という時間的な制約を勘案して、在日同胞社会の経済基盤を安定させる強固な民族金融機関として全同胞が参与する銀行設立を訴えてきた。また、苦境にあった同胞の経済活動を立ち上げ、生活の安定をもたらすべく設立され、これまで零細同胞企業を支えてきた民族金融機関の多くの存続を願い、既存信組の自助努力を支援してきた。

 今回の譲渡先選定には日本金融当局の政策的な方向転換があったものと思われる。金融当局はこれまでの健全性・収益性から公的資金の最少化へと選定基準の最重要視項目を移行したことである。

 また、韓国大使館との交渉の際、韓国政府の在日韓国人の将来を案じての資金支援の姿勢表明に対して、日本金融当局は理解を示すとともに銀行免許への協力も示唆していた。

 これらを踏まえると、日本金融当局の今回の措置は理解し難いものであるばかりでなく、極めて遺憾に思う。それに加え、銀行設立の動きが遅延することによって、民族金融機関の先行きを憂慮するあまり吹き出した様々な声を一つに民団が集約できなかったことである。

 在日韓国人社会に大きな衝撃を与えた民族金融機関の破綻に対して、新銀行こそが既存信組との共存共栄をはかりながら在日同胞社会の経済活性化を期すると多くの在日同胞が期待していた。その期待と願いを実現できなかったことの責任を痛感するものである。

 事態がここに至った以上、今後の金融情勢にどのように対処するかを考えなければならない。4月からのペイオフ解禁を目前にして金融危機が叫ばれるなか、この日本金融当局の選択によって、全国展開ができる民族金融機関がないまま地域ごとに分散した対応を余儀なくされた。

 民団はこの事態を重く受け止め、現存信組並びに譲渡先信組を存続・発展させるために在日同胞の力を結集してこの難局を克服していかなければならない。

 まず、この1年間に、既存信組、譲渡先信組ともに多くの在日同胞の浄財が注入されたことを踏まえて、まず、信組の健全な発展に向けて、情報開示を含めたより一層の経営努力を求めながら、全同胞的な支援活動を展開していく。

 次にペイオフ解禁後の民族金融機関の更なる強固な経営基盤の再構築を目指し、民団、韓商連、韓信協が一丸となって在日同胞社会の各界各層から成る「協議会」を緊急に構成し対処していく。

 更に、昨年1年間の教訓として痛感した在日同胞社会の認識不統一を克服し、同胞の声を一つにまとめて、団結した力で韓国・日本両国政府に支援を強力に要請していく。

 21世紀の初頭、同胞の金融機関の再生と同胞経済の活性化のため、この緊急事態に際し、全在日同胞の結集した力で立ち向かうことを訴えるものである。

2002年1月23日

 在日本大韓民国

 民団中央本部

団長・金宰淑

(2002.01.24 民団新聞)



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