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「在日」人権資料館が再オープン

カンパに支えられる



親方(奥)以外は立って食事をとっていた(「丹波マンガン記念館」で)

 【京都】財政難から閉鎖の危機さえ伝えられていた在日同胞設立の人権資料館「丹波マンガン記念館」(李龍植館長、京都府北桑田郡京北町)が、維持費の一部にと全国から寄せられた緊急支援カンパに支えられて3月から再オープンすることになった。

 支援カンパは2月4日現在、個人136人と33団体から目標額に相当する500万円弱がわずか1カ月半の間に寄せられた。これで昨年末までに銀行からの借入金を一部返済、当座の維持費も確保したことになる。昨年10月から支援を呼びかけてきた「丹波マンガン記念館を支える会」(代表、山内政夫・柳原記念銀行資料館事務局長)の文公輝事務局長は「記念館は在日社会の財産。自分たちの手で守ろうと訴えてきた」という。

 同記念館は韓半島から強制連行されるなどした韓国人、中国人、被差別部落出身者らがマンガン鉱石の採掘で過酷な労働を強いられた現場の一つ。当時、丹波地区3市7町だけでもこうした鉱山は300以上もあり、最盛期には3000人以上の韓国人の姿が見られたという。掘り出されたマンガンは、大砲の砲身や戦車のキャタピラなど兵器の製造に欠かせない鉱石として利用された。

 こうした隠された歴史の事実を正しく伝えようと、資財をなげうって設立したのが自らも鉱山労働者の経験を持つた在日同胞の故・李貞鎬氏だった。第2次大戦中に重労働に耐え、坑夫として働いた韓国人たちの姿を立体模型などを使い当時のままに再現している。

 特別展開催などの自主努力もあって入館者は現在、年間1万人を超す人気。しかし、入館料だけでは広大な坑道を有する館施設の維持費をまかなえず、不足分は李館長一家が赤字分を補てんしてきた。

 こうした負担金も昨年末までに7000万円を超し、記念館を維持するには限界に達していた。

 「支える会」では、記念館の維持運営には幅広い同胞・市民の参画が欠かせないと、これまでの任意団体から新たにNPO法人への脱皮を目指している。NPO法人設立総会は3月17日正午から同記念館で。総会終了後京都府に認可を申請する方針。

 問い合わせは「支える会」、電話075(371)0295まで。

(2002.02.27 民団新聞)



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