民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
日本の学校で「韓国理解」授業が急増




婦人会のオモニから韓国についての知識を学ぶ生徒達

□■W杯共催・韓国ブームが呼び水□■

◆大阪・泉北郡の忠岡中学校「韓国文化を知ろう」
2年前から選択科目…歴史・文化など総合学習

 ワールドカップ韓日共催や韓日国民交流年などによる「韓国ブーム」が続く中、韓国理解を進めようとする授業を取り入れる小中学校が現れている。同胞多住地域ばかりでなくほとんど同胞が居住しない地域でも韓国文化を紹介する試みが行われており、その理解を進めるために地元民団や婦人会が一役買っている。

 【大阪】大阪府泉北郡の忠岡町立忠岡中学校(松本文昭校長、全校生徒483人)では、2年前から「韓国文化を知ろう」という授業(毎週木曜1時間)を3年生社会科の選択科目として正式に取り入れ、地域の話題を呼んでいる。

 選択希望した生徒たち(20人限定)は前期・後期の2回に分け、約6カ月にわたり韓国について学ぶ。忠岡町の人口1万7000人のうち、在日同胞は700人と比較的多く住む地域。松本校長は「在日にとっても日本の生徒にとっても互いに意義ある授業では」と話す。

 これまで、各界から講師を招いて歴史や文化、ハングル、チャンゴなどの授業を開き、昨年は婦人会泉大津支部の李春工会長らを3回にわたって招き、民族衣装の韓服(チマ・チョゴリ)について学んだ。

 7日に開かれた料理教室では、李会長や金寿子組織部長の指導を受けながらチヂミの焼き方を教わり、生徒たちが一生懸命焼いた出来たてのチヂミは、校長室や職員室で生徒や先生で試食した。

 高3の戎美和子さんは「選択してよかった。韓国についてたくさんのことを楽しく勉強できた。さっそく家で作ってみたい」と熱々のチヂミを口いっぱいに頬張りながら、満足気に語った。


◆秋田・南秋田郡の払戸小学校「アンニョンハセヨ韓国」
韓日路線就航が契機に…児童ら自主調査で発表会

 【秋田】秋田県の男鹿半島にある南秋田郡の払戸(ふっと)小学校(児童数150人)では昨年10月から「アンニョンハセヨ韓国」という韓国文化を知る授業が開かれた。

 「ふっとわーく学習」という正規授業の中で行われたもので、題して「近くて遠い国から近くて近い国へ」。秋田―ソウル定期航路の就航(昨年11月)を前に、地域で「韓国」がクローズアップされた。5年生の担任、渡辺豊彦教諭が児童たちに韓国についてどの程度知識があるかを調べたアンケートが韓国理解には心もとない結果であった。このため、来年度から実施される環境や福祉、人権などについて学ぶ総合学習の移行期間として行われているフットワーク学習の国際理解分野にピッタリと、早速韓国を知る授業に取り組むことになった。

 児童たち自身の手で新聞や本、インターネットなど様々な手法で情報を集めるとともに、地元の民団秋田県本部にも協力を求め、言葉や韓国の文化、風俗を聞いた。11月には4年生と6年生を交え、児童たちが調べた韓国についての知識を言葉、歌、マンガ、食べ物など各分野で発表し、駆けつけた民団秋田県本部の申均三副団長、崔燕佑事務局長、李成洛総務部長らをうならせた。辛くて水を飲みながらも差し入れのキムチを「おいしい」と食べるなど早速「韓国通」の一端を見せていた。

 事業を指導した渡辺先生は「先入観がない子どもたちが、素直に韓国の姿を捉える姿が印象的」と韓国を学ぶ学習を評価している。

 韓国を知る事業は一旦終了したが、児童たちから韓国の児童と文通したいなどという声が相次ぎ、渡辺先生は来年度も朝鮮通信使など古来から密接に行われていた韓日の交流を中心に、改めて事業として取り上げたいという。

 また、できれば韓国の小学校と姉妹結縁したいという思いを受けて、民団でも全面的に協力していく。

(2002.02.27 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ