民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
同胞ネット構築を加速化

中央委員会で金団長が強調



 第55回定期中央委員会を迎え、本団組織の発展のために一線で尽力なさっている中央委員のみなさんと平素本団のために陰に陽に支援して下さる顧問の方々に衷心より感謝を申し上げます。

 その上、本日は新しく赴任された趙世衡特命全権大使が、公私多忙にもかかわらず中央委員会に参席されましたことに敬意を表するとともに、歓迎してやみません。


■逆風と悪条件のなかでも

 親愛なる中央委員のみなさん

 昨年は逆風と悪条件のなかでみなさんとともに苦労した年でした。小泉政権の登場とともに教科書問題、靖国神社参拝問題などが起こり、順調だった韓日関係に亀裂が生じただけでなく、私たちの地方参政権問題にも逆風が作用しました。

 また、日本の景気が沈滞一路を駆け上がるなかで経済活動をしなければならない同胞商工人は、どれほど苦労したでしょうか、そこへ狂牛病までが重なり、同胞経済の業種の一つである飲食業がどれほど打撃を受けたでしょうか。

 さらに、昨年「9月11日同時多発テロ事件」で、テロ対反テロ戦争が起こり、世界的な規模で緊張が激化しました。これによって南北関係は足踏み状態に置かれ、日本でも朝鮮総連との対話も杜絶状態が継続するようになりました。

 中央委員のみなさん

 振り返って見れば、一昨年の関西興銀、東京商銀の2大信用組合が破綻したことで、わが同胞経済の70%に達する中小企業が、辛酸をなめるようになりました。このような危機的な状況に対処するため、一日も早く破綻信組を引き受け、現存信組と補完関係を結ぶことのできる全同胞的な銀行がなければならないという思いから、銀行設立を成し遂げようと私たちは努力しました。銀行設立方式に多少の意見の差がありましたが、本団は時間的な制約と本国政府の財政支援が絶対的な条件だったために、大使館が主導する銀行設立主体に全面的に依拠せざるを得ませんでした。結果はみなさんも承知していらっしゃる通りになりました。日本金融当局の政策変化があり、同胞の一致した意見と行動で対処できなかった結果だと言えます。

 親愛なる中央委員のみなさん

 私たちはこのような渦中にあっても、韓日両国の未来と在日同胞の将来を背負っていく次世代にとっての教育問題の要となる歴史教科書歪曲問題に対し、本団の底力を遺憾なく発揮しました。

 全国約570地区の公立中学校で教科書を採択した所は1カ所もありませんでした。これは日本の良識ある市民たちと本国の政府、政治家、市民たちの声援とともに、全国各支部組織が歪曲教科書不採用運動を積極的に展開したためです。

 また、昨年8月、民団中央が初めて試みた「オリニジャンボリー」は、全国各地方本部の協助と父母たちの積極的な参与で成功裏にやりのけました。21世紀初頭に在日4、5世のオリニたちが民族的な自覚を持つことができる大きな契機になっただけでなく、父母たちとの連帯も図ることができ、オリニたちのための教育に新しい枠組みをつくるようになりました。


■「参政権」国内外世論化へ

 親愛なる中央委員のみなさん

 私たちを取り巻く情勢は今年も決して平坦ではありません。外では米国の反テロ戦争が継続して国際的な緊張が持続するような模様であり、内では米国の対北強硬政策で南北関係も停滞状態が継続するのではないかと憂慮されます。さらに私たちが生活している日本社会も金融改革、構造改革の遅延によって、デフレ状況のなかで危機的な状況が当分継続しそうです。

 このような明るくない展望と条件のなかで、私たちは今年与えられた課業を実践していかなければなりません。

 私たちは今年何よりも新しい局面を迎えることになった同胞金融問題に真摯に取り組まなければなりません。

 ペイオフ事態に対して賢明に対処しながら今後の信用組合の安定した発展のために、本団を中心に全同胞が力を合わせ、積極的に対応していかなければなりません。信用組合がある地方本部は「協議会」を構成し、信用組合が名実ともに同胞信用組合に発展するよう団結し協力しなければなりません。また、全国的な機能を発揮する金融機関がない状態で各信用組合と機能調整をして相互支援をする機構が必要です。このためには全国的な範囲の「協議会」を構成し、対処していかなければなりません。

 親愛なる中央委員のみなさん

 すでに8年目の運動として展開している地方参政権が、継続審議案件として日本の通常国会に移管されています。日本社会の経済的危機と現実の政治の流れから見ると、決して楽観視することはできません。かえって不透明で困難な情勢が私たちの目の前に置かれています。

 このような状況であればあるほど、地方参政権に対する本団の意志を強く固め、忍耐心を持ち、ねばり強い活動を展開していかなければなりません。本国政府と韓・日議連関係の国会議員らの協力を得て、日本の良識ある政治家の理解と良心的な日本の市民団体との協力も求めながら国内外の世論化に努力すると同時に、立法化が成されるよう全団がより一層努力をしなければなりません。


■同胞社会指導母体として

 また、21世紀の民団の土台をなす同胞ネットワーク構築を加速化しながら組織強化に力を尽くさなければなりません。

 親愛なる中央委員のみなさん

 昨年、教科書不採用問題で見せた本団の底力と「オリニジャンボリー」で作った新しい土台を基本に、決して平坦でない情勢と条件のなかでも団結した力で与えられた課業を一つ一つねばり強く遂行していかなければなりません。

 本団は50数年間、苦闘の歴史のなかで闘ってきた経験と伝統があります。先輩たちが残してくれた財産は、苦境のなかで外勢を退け、内には和睦し相互に扶助する精神であったことを今一度想起しながら同胞社会が困難であればあるほど、組織活動が大変であれば大変であるほど、私たちは本団を中心に団結し、名実ともに同胞社会の指導母体として果敢に前進していきましょう。

(2002.03.13 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ