民団新聞 MINDAN
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在日へのメッセージ

藤原史朗(「全朝教」〈全外教〉代表)



種袋を背負い巣立つ者

 このコラムの小生初回原稿は「チョゴリでの卒業」だった。

 それから1年。去る2月28日、通算16度目のチョゴリの卒業が実現した。卒業の同胞生徒は男女2名。式場に朴勝浩1人がえび茶色のチョゴリ、青色のパジを着て「パクスンホ」の呼び名に「イェー」と返事して立った。鼻筋の通った顔がチョゴリにはえて凛々しかった。

 チョゴリは今年も韓国古典舞踊の呂英華先生の贈り物。それを梅田駅で朴と2人で受けとった。先生は本国の人。彼女の口癖は「日本で市立尼崎高校だけですよ。チョゴリの卒業は。大事にしてね」の言葉に恐縮至極。

 最近の日韓同時期放映の問題?作『フレンズ』の時代が来ようとしている。

 本校でも昨年から慶尚南道・古代伽耶の地の南旨高校との交流が始まった。

 7人の高校生と学校長以下4人の先生が来校され、全校生で迎えた。来日の生徒を「同胞の会」部屋に案内し、壁にかかる10数枚のチョゴリの卒業記念写真を私が説明。朝鮮中学出身の朴が通訳で紹介し直した。彼らは歓声をあげて見入った。

 私には一つの自負がある。本校は流行に乗ってではなく、20数年余、在日コリアン生徒らのカムアウトとそれへの日本人生徒らの応答を軸に育んできた人権教育、これを積み重ねてこの出会いに至った。

 チョゴリの卒業式の後には、悲喜交々の人生が待つ。甘くはない。だが、「種袋を背負い泣きながら出ていった者は、束ねた穂を背負い喜びの歌を歌いながら帰ってくる」(旧訳聖書詩編)を私は信じる。祈。

(2002.03.27 民団新聞)



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