バブルの頃、東京・赤坂の某韓国クラブのママさんは豪語した。「3万円で100人の客が来るのなら、6万円で50人の客の方がいい。女の子も疲れないし」と。その言葉を実践して料金を値上げした。
ママさんが言いたいのは、要するに売り上げは同じ300万円じゃないか。ならば半分の客に対応する方が楽じゃないか、と。
だが、ママさんの計算に反して、その店は半年しない内につぶれてしまった。
つぶれそうな店の店主を繁盛店で修行させて商売を立ち直らせるというテレビ番組が人気を呼んでいる。例えば、数十店のたこ焼き店で年商数億円を売り上げる店主などが語る姿は説得力がある。誰のためにたこやきを焼くのか?と。
お客という視点が欠如したときから、すべて自分勝手になってしまうのだという。ちょっと手を抜いても、少し品質を落としても、と次々に言い訳を考えて底なし沼に落ちるのだという。先のママさんが良い例だ。
これは商売上の話に限ったことではない。昔、ある団体が、数が多い会員からの会費を集めるより、お金持ちから大口の寄付をもらった方が楽だと、赤坂のママさんと同じ手法を取った。結果は言わずもがなである。払う側の参与意識などに思い及ばず、運営資金の確保だけ、すなわち自分勝手に陥ってしまったのである。
その団体に何が必要とされているのかが問われているのである。(L)
(2002.04.03 民団新聞)
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