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大阪・鶴橋小に難産の末「民族クラブ」開設



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消極的なPTAに校長自ら説得
同胞父母の要望が追い風に

 【大阪】在日同胞の最多住地区、生野区桃谷の大阪市立鶴橋小学校(丹羽孝昭校長)にこのたび待望の民族学級(民族クラブ)が開設された。同胞保護者からの開設要求を受け、学校側が2年余りにわたって地域の理解を得ようと取り組んできた地道な説得工作が実を結んだ。

 鶴橋小は通称「御幸森コリアタウン」に隣接、全児童数260人の約3分の1を在日同胞で占める多在籍校。大阪市教育委員会からも加配校としての指定を受け、民族教育を実施していくために教員の増員措置も受けている。大阪府外国人問題有識者会議でも5年前、市に民族学級・クラブの開設を求めるなど、民族学級・クラブの開設は同校の課題となっていた。

 にもかかわらず、民族学級・クラブ開設は遅々として進まなかった。地域住民の十分な理解を得られなかったからだ。一方で民族学級・クラブの開設を求める在日同胞保護者の声は日増しに高まるばかり。一昨年の学期末懇談会では、1年生の児童を持つ父母が、担任に「子どもが民族に向き合う機会と場所設けてほしい」と訴えたほど。

 丹羽校長はまず、卒業生を介して地域に働きかけ、民族学級・クラブ開設への理解を求めた。PTAとも毎月のように学級懇談会を開き、理解を得ようとした。

 しかし、PTA内からは「日本の公立学校としての趣旨に反する」「時期早々だ」という消極的な意見が聞かれた。丹羽校長がPTAを相手に粘り強い説得を重ね、了解を得るまでには2年と数カ月の歳月を要した。

 大阪市教委では、鶴橋小から出された民族クラブ開設申請を受けて昨年の12月に許可。待望の開校式は今年2月13日に行われた。丹羽校長は「私が赴任して5年目で民族クラブを開設できたのは、ワールドカップの共催など時代の追い風もあった」と感慨深げに振り返った。

 在日同胞の子どもたちが実際に放課後、課外で母国の言葉、文化、風習を学んでいくのは5月1日から。1年生から6年生までの27人が対象となる。講師は在日同胞の金仁叔さん。

(2002.04.24 民団新聞)



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