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辛酸なめた1世に故郷の旅

4人が解放後、初の訪韓



ソウルのW杯スタジアムを見学する参加者

半世紀の離別*р゚る2泊3日に
民団富山、高齢者43人を無料招待

 【富山】長年苦労してきた1世のお年寄りに訪韓の旅をプレゼント―。民団富山県本部(金和雄団長)が4月15日から2泊3日で実施した訪韓団には、県内の高齢者ら56人が参加、故郷の旅を楽しんだ。渡日以来初めて、60数年ぶりの訪韓となったハルモニや84歳のハルモニも参加、半世紀以上が経過して発展した故郷を脳裏に焼き付けた。

 「みんなでワールドカップ競技場を見よう!」と銘打たれた訪問団には、富山県内の60歳以上の男性13人女性30人の43人が参加した。60代11人、70代22人、80代10人で、平均年齢74歳。最高齢者は84歳のハルモニだった。高齢で足が悪くて歩けない人などの付き添い同伴者と金団長、金起昌監察委員長、宋勇事務局長、徐順伊婦人会長ら13人が同行した。

 一行のうち、4人が解放後初めての訪韓となった。仁川空港到着後、ワールドカップ競技場を訪問。競技場内にある大型スクリーンに一行の姿が映し出されるなど、一足先にワールドカップの雰囲気を楽しんだ。パンソリや韓国舞踊が披露されると、一生懸命拍手しながら喜びを全身で表していた。興に乗ったハルモニが一緒に踊り出す一幕もあった。

 キムチがおいしいのか盛んにお代わりするなど、数十年ぶりの故郷での食事を楽しんでいた。同行した金団長らも、お年寄りが心から喜んでくれる姿に目頭を熱くしたという。

 旅行中、嫁に車いすを押してもらっていたハルモニ(82)は渡日以来、初の訪韓。鰲頭山展望台から北韓を望みながら「日本にいるときは、もっと遠くにあると思っていたが、こんなに近いとは…。早く統一して1つの国になればいいのに」と感慨深げに語っていた。また、ほとんど視力がない文今順ハルモニ(80)は、駆けつけたソウル在住の甥が押す車いすで旅程をこなした。見えないながらも、聞こえてくる言葉やなつかしい食べ物の臭いに本国を感じていたようだ。

 渡日以来、一度も故郷の地を踏んでいない人や経済的に苦しくて訪韓できない高齢の団員が県内に相当数存在することを知った民団が、「苦労した1世に、故郷の地を見せてあげたい」と昨年12月の役員会で決定した。60歳以上のお年寄りを無料で招待するために、寄付を募り、この度実現の運びとなった。

(2002.05.01 民団新聞)



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