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「総合学習」どう生かす<4>

「人材バンクの設立を」民促協・金光敏



 「総合学習」を進める中で重要なことは、動機付け≠ニ投げかけ≠ナはないか。

 動機付け≠ヘ、教員がこれに取り組もう≠ニ一方的に提示するのではなく、子どもたち自らが「学びたい」と思えるような背景づくりをすることである。投げかけ≠ヘ、教員が準備した答えに向かって子どもたちを誘導するのではなく、子どもたち自身が答え≠探し出すことを意味する。

 こうした双方向の学習には、新しい価値観≠ェ求められる。新しい価値観とは、教員と子どもの関係を、教え教わるという固定的なものから、教員も子どももわからないことに共に挑戦する≠ニいう視点である。

 学校には今、この動機付け≠ニ投げかけ&s足しているようで、一方通行の学習が多いようである。

 また、「総合学習」に求められる新しい価値観には、上記のこと以外にも「韓国・朝鮮語に取り組む」「ベトナムの歌を歌う」「中国の民話を読む」など、これまで学校が関心を持ってこなかった領域へ「進入」することも重要である。

 これらの価値観を活かすために重要になるのが学校外からの講師招聘である。

 学校は今、「総合学習」に活かす情報や人材を切望しており、新しいことに取り組もうにもその具体策に困っていたり、また学習の視点を作り出していくためのアドバイスを求めている。私が考えるに、民団と総連がその役割を担えるのではないか。むしろ、同胞の子どもたちが元気になる学校づくりの視点に立って、積極関与することを提案したい。

 たとえば、民族団体が同胞の持つ専門技術や知識を学校教育に活用し、民族教育の推進を側面的に支援する施策を持ってはどうか。すなわち「人材バンク」の立ち上げである。

 実は、大阪府教育委員会がいち早くこのシステムを導入した。地域の教育力を活用するという観点から地域の専門技術者や知識を持った人たちに登録してもらい、「総合学習」などで子どもたちに「ほんまもん」を見せ、感じさせる機会をつくろうというものである。この制度はまたたく間に府内に広がり、多様な学習に活かされている。

 民促協でもこの制度を使ったコーディネートをまかされることが多い。大阪では、学習進度や教材、学習の狙いが変わった学校が多かった。専門性と当事者性を持って関与するがゆえの取り組みであろう。

 同胞社会には法律家もおれば、企業家もおられる。調理実習などは各家庭に名コック≠烽ィられる。

 民団や総連が、同胞のネットワークを活かして学習に活かせる専門技能、学校訪問の可能な曜日・時間など登録してもらい、学校からの要請に合わせて講師を紹介するのである。

 その中には現役の保護者もおられるだろう。アボジ、オモニが「先生」となり、教室に立つ姿は、同胞の子どもたちにとっても「自慢」だろうし、「勇気付け」にもなる。教育効果は高い。

(2002.05.01 民団新聞)



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