民団新聞 MINDAN
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在日へのメッセージ

塚本壮一(NHK国際部記者)



平壌市民の外国人慣れ?

 先月、10年ぶりに訪れた北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国で気づいたことがある。平壌市民が意外なほど「外国人慣れ」していることである。

 前回は、人々がすれ違いざまに私の顔をジロジロ見るなど警戒心を隠さなかった。この頃、北朝鮮は外国人観光客の本格的な誘致を始めたばかりだった。

 今回、街なかで大きなテレビカメラを構えていても、通りすがりの人が気にする素振りはない。ホテルの従業員に至っては、廃止された外貨兌換券が再度導入された理由をたずねる私に答えるかわりに、政府が関係機関に出した指示書を見せてくれた。大した内容とも思えないが、でもこれは内部文書ではないか。

 考えてみると、この10年の間に、平壌市民が外国人を目撃する機会は増えている。まず、商用や観光で訪れた中国人の姿が目立つ。食糧問題などの対応にあたる国連機関の駐在職員やNGOからの出張者も少なくない。私も今回の滞在中、これらの組織のマークを車体につけた自動車が走っているのを何台か見た。

 市民の外国人に対する警戒心がいくらか薄らいでいるのだろうか。平壌の「国際都市化」がわずかずつ進んでいるのではないか。

 しかし、私と同様に取材で来ていた欧米メディアの記者が、軍人にカメラを向けたというだけでフィルムを没収される場面にも遭遇した。この若い白人男性は激しい罵声を浴び、立ち往生していた。

 北朝鮮では、いまでもやはり「帝国主義の策動を打ち砕かなくてはならない」のである。平壌の「国際化」。その芽生えと限界をともに実感した北朝鮮再訪だった。

(2002.05.15 民団新聞)



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