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関西学院大が特別卒業証書

除籍の故金圭元さん



祖国独立に関与と特高に逮捕され、除籍の故金圭元さん
7月にも名誉回復
決定直前、無念な事故死

 【兵庫】第2次大戦中に治安維持法違反で投獄されたため、当時関西学院大学(兵庫県西宮市、平松一夫学長)に併設されていた高等商業学校を除籍となった韓国の故金圭元さんに対して、7月にも特別卒業証書を授与することを決めた。同大学が特別卒業証書を授与するのは初めてのこと。

 金さんは1925年に尼崎市で生まれ、旧西宮市立商業学校(現兵庫県立西宮高校)を経て、43年に旧関西学院高等商業学校に入学。学校内での朝鮮人や台湾に対する人権差別を嘆き、当時ソウルの朝鮮総督府に勤めていた市立商業学校時代の同級生・徐元洙さん(77・西宮市在住、朝鮮籍)に「半島同胞救済のため…君も大いに頑張って呉れ」(昭和特高弾圧史8・太平出版社より)とあてた手紙が祖国の独立運動に関わったとして、同年特別高等警察(特高)に逮捕・投獄され、45年3月に除籍となった。徐さんも同じ頃日本へ戻り逮捕された。

 戦争末期、金さんは韓国に渡ってソウル大学院を修了、同大学教授などを勤め、その功績として金泳三大統領時代に建国褒賞、金大中大統領から国家有功者待遇を受けた。一昨年の6・15共同宣言にともない、昨年4月に徐さんが韓国を訪問。半世紀以上の年月を経て金さんと再会した。

 昨年末、金さんから「名誉回復のため卒業証書をもらえないだろうか」という手紙が、当時の在学証明書を同封して徐さんのもとに届き、その意向を同大学に伝えたところ、3月末に証書授与が決まった。しかし金さんは、授与決定を知る由もなく1月16日、不慮の事故によって77歳で死去。同大学は7月6日にソウル市内で授与式を開き、夫人の慎南鶴さん(70)に平松学長から証書を手渡すという。

 徐さんは「彼はかけがえのない無二の親友。この報告を何よりも喜んでくれているはず。韓国と朝鮮と日本を結ぶ架け橋になればうれしい」と胸を熱くした。

(2002.05.29 民団新聞)



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