民団新聞 MINDAN
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在日へのメッセージ

石高健次(朝日放送報道プロデューサー)



戦争と民族対立のアフガン

 3月末からTVドキュメンタリーの取材で半月アフガニスタンを回った。戦争による貧困に加え、根深い民族あるいは部族対立という、「血の歴史の呪縛」からどうしたら抜けられるのか、ずっと考えていた。

 79年のソ連侵攻からこの国では実に23年にわたって戦争が続いている。外国の治安部隊によって首都カブールは一見平穏に見えるが、郊外ではこれを狙った銃撃戦、さらに東部地方では依然アルカイダ掃討のための戦闘が続いている。戦争孤児や100万人を超すといわれる未亡人は十分な食糧もない毎日だ。民主主義体制が確立される前に治安部隊が撤退すれば再び覇権争いから内戦が起きるという見方がもっぱらだ。

 民族・部族が一つになって<\連を追い出したのにその後なぜ、お互いを殺し合う内戦を続けるのか? 理屈では言えないもの、それが「覇権主義」とか「民族的憎悪」というものなのか。

 アフガニスタンが1919年イギリスから独立して以来、政治リーダーのほとんどが前任者を暗殺して就任してきている。そして、35年、前任者の属する民族を大量に虐殺する事件が起きた。民衆が覇権主義に巻き込まれた近代で最初の事件。以来、殺す―恨む―殺す、という血の連鎖が続いているという識者がいた。そして今や、何をしようにも外国の助けがなければ明日が来ない国になってしまった。

 援助を受ければ政治的駆け引きの道具にされる。ますます自分の(平和な)国を自分の力で作っていけなくなる。それを認識しながら、抜けることができない無間地獄的悲劇に、行く先々で絶句した。

(2002.06.19 民団新聞)



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