民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
3団体連名の「陳情書」



 金宰淑・民団中央本部団長、金建治・在日韓国商工会議所会長、李鍾大・在日韓国人信用組合協会会長の連名による「陳情書」全文は次の通り。

 一、民族金融機関の緊急支援基金に関して

 在日同胞経済は、日本経済の圧倒的な影響を受け、長期化する経済不況の中で狂牛病騒動まで重なり、たいへん困難な状況に置かれています。さらに最近、2、3年の間に同胞企業の資金供給源であった信用組合の連続的な破綻により、34信用組合が、現存14信用組合に減り、最大の危機的な事態に直面しています。かつ、今年4月からペイオフが解禁になり、同胞系信用組合は新たな局面に置かれ厳しい対応を求められています。

 今まで、破綻信用組合と取引していた在日同胞企業の中には、バブル経済時代の過重な設備投資と厳しい不況などにより、不良化して整理回収機構(RCC)に移行する企業が続出し、同胞企業の存続自体が憂慮される状況であります。

 このような状況を勘案し、これまで在日同胞の零細企業へ経営支援を行いながら、在日同胞社会の経済発展に貢献してきた民族金融機関の役割は、より一層重要であると思います。在日同胞経済の活性化は、破綻する可能性が高い同胞企業の再生と、新たな同胞企業の育成にかかっています。そのためには、資金供給源としての民族金融機関の存在は不可欠であるばかりでなく、健全な発展こそが絶対的な条件と言えます。

 民族金融機関が最も困難な状況に置かれている現時点で、本国政府の支援が信用不安の解消に決定的な役割を果たすとともに、預金増強は勿論、預金流出防止にも大きな助けになると確信しています。

 我々の民族金融機関は、経営基盤の強化とそれに伴う体制構築の為に、信用組合設立当時の相互扶助精神という原点に返り、自助努力と全在日同胞の力量を傾けて行くことを銘心します。

 本国政府が、1960年代、70年代に困難な状況に置かれていた在日同胞社会の為に、政策的に支援いただいた支援基金が、民族金融機関の発展の為に大きな役割を担った事実と、現在の在日同胞社会の危機的な状況を理解していただき、在日同胞の総意として本国政府に韓信協会員組合の基盤強化の為の、緊急資金支援を要望いたしますので、格別な配慮と迅速な対処をして下さることを要望いたします。


 二、在日韓国人の日本国内の地方参政権問題に関して

 在日韓国人が要望している日本国内の地方自治体選挙権付与法案の早期立法化支援要望

 在日韓国人の安定した生活権確保と住民としての基本的権利を確立するため、本団は1994年以後、最重要課題として獲得運動を展開してきました。この間、本国政府におきましては頂上会談等におきまして、日本政府に対して要請して頂いたために、地方選挙権付与法案は日本国会で審議を経て、実質的に採決段階に至っています。しかし執権与党である自民党の反対により、法案は現在も継続審議状態に置かれたままです。

 2002ワールドカップ韓日大会の成功裡の開催を契機に、今後、真の韓日親善友好関係を進展させるためにも、在日韓国人の地方参政権問題は両国政府の次元で早期に解決しなければならない大きな課題であります。 つきましては、貴下におかれましては在日韓国人の宿願である地方選挙権法案が日本国会で早期に成立できますよう、今後、両国間の頂上会談等の交渉におきまして、全面的なるご支援とご協助をお願い申し上げます。

 在韓長期居住外国人に対する地方選挙権付与の早期成立要望

 在韓長期居住外国人に対する地方選挙権付与問題については、すでに1999年金大中大統領が付与を約束され、行政自治部長官も記者会見を通じ付与することを表明しました。昨年12月には与野党も付与に一旦、合意しております。

 この問題の実現は、民主主義を成熟させ、国際時代に相応し、アジアの平和と和合を図るためにも必要なものであります。また、韓国が率先して、これを実現すれば、アジアで初めてであり、政治的にも道義的な面でも模範になり、国際社会で大きな評価を受けるようになります。

 在日韓国人の日本国内の地方選挙権付与に反対する自民党は、相互主義等を楯に、私たちを日本社会から排除し、継続して差別しています。本国政府及び国会が、在韓長期居住外国人に対する地方選挙権付与を早期に再検討しない場合、日本の反対派に参政権反対理由の言質を与えてしまうことが憂慮されます。

 つきましては、貴下におかれましてはこの間の経緯を斟酌され、在韓長期居住外国人に対する地方選挙権付与を早期に実現されますよう、お願い申し上げます。

(2002.06.19 民団新聞)



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