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広がれ「韓国語」開設校

大阪府教委「統一教材」を作成



同胞教員の実践生かし

 【大阪】大阪府教育委員会は高校生用の韓国語補助教材『韓国・朝鮮語教材資料集』(文字と発音編・会話編)を発行、第2外国語として韓国語を教えている府立高校172校と市立高校31校などに配布した。行政自ら高校での韓国語教育の指標となる「統一教材」をつくったのは大阪府教委が初めて。今後、韓国語の開設校がさらに広がるものと期待されている。


民団大阪の要請実る

 公立高等学校の「韓国語」教育は学習指導要領上とくに明示された規定はなく、「その他の外国語に関する科目」として設置が認められているにすぎない。学習内容の基準もなく、現場の教師は高校生の学習意欲を高めるための教材を独自に工夫しながら講座の運営にあたってきたのが現状。 このため、民団大阪府本部(金昌植団長)は大阪府教委に対し、統一した「韓国語」教材の必要性をかねてから訴えていた。これは、府立高校での「韓国語」開設校の拡大にも統一教材が欠かせないとの認識による。

 それだけに、同本部としても行政自ら「統一教材」の発行に踏み切ったことを歓迎、「高校での『韓国語』開設校拡大に向けて弾みがつきそうだ」と話している。

 完成した副読本はB5版40n。「文字と発音」「会話編」の2部構成になっている。高校生はもとより中学生にも理解しやすいようにとイラストをふんだんに挿入した。本文には「ここが南大門ですか」など韓国への修学旅行をイメージした内容も盛り込んでいる。

 編集委員は、JETプログラム(語学指導を行う外国青年招致事業)で韓国語指導助手についた金智賢さん(府立阪南高校)をはじめとする現役の同胞教員9人。大阪府教委、大阪市教委、財団法人自治体国際化協会、独立行政法員教員研修センター、および文部科学省が主催している研究協議機構「JETプログラム中間期研修」の一環として昨年11月から取り組んできた。

 担当の大阪府教委教育振興室教務課の松宮新吾指導主事は、「それぞれの高校現場で長年培ってきた教育実践とノウハウが活かされている」と、現場での積極的な活用を呼びかけている。


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CD教材の導入も 文科省の指定受け

 大阪府はこれまでの韓国語教育の実績を認められ、このほど文部科学省から「高等学校における外国語教育多様化推進地域」に指定された。これは英語以外の外国語教育の振興を図ろうと文部科学省が4月1日、初等中等教育長名義で決定した事業だ。

 これを受けて大阪府教委は今年度から2年がかりで「韓国語」教育の推進に向けた実践研究に入っていく。まず、学校関係者、学識経験者、外国語指導助手、留学生およびボランティア団体の代表などからなる「外国語教育多様化推進連絡協議会」を設置、CDなどの音声教材や、カリキュラムの開発などに取り組んでいく方針。文部科学省の指定を受けたのは大阪府のほか神奈川県、兵庫県、和歌山県の1府3県。大阪府以外は中国語を課題としている。

(2002.06.19 民団新聞)



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