東アジアの視点からシンポ
課題は「在日」との共生
2002年サッカーワールドカップ(W杯)を振り返る「宴の後の日韓サッカー、そして東アジアを考える」と題した公開シンポジウムが22日、東京・文京区の講談社会議室で開かれた。定住外国人ネットワークとW杯の勉強会グループ「think2002」が共催、200人が聴き入った。
第1セッション「日韓サッカーの展望」では、サッカージャーナリストの慎武宏さんやサッカー解説者のセルジオ越後さんらが、「韓日のためのワールドカップ」となった本大会を総括、それぞれ「予想外」と評した。
慎さんは韓国の躍進結果について「大会前、欧州勢相手の親善試合で善戦して自信をもち、本戦でも初戦のポーランド戦に勝利して波に乗った」と分析した。
サッカーライターの木次成夫さんは「韓日両国とも予選落ちを予想していた」と明かしたうえ、韓国については「この1年間で培った組織的レベルサッカーの高さに驚いた」と率直に語った。
一方、セルジオ越後さんは「韓国と日本両国の国と体制、ファイティングスピリットの違いが最終的にベスト4とベスト16の分かれ目になった」と、具体例を挙げながら次のように述べた。「日本は16強入りで一つの目標を達成したのに対し、打倒日本に燃える韓国は赤のTシャツによるキャンペーンや独自の大会雰囲気作りと、すべてが日本を上回っていた」。
ただし、韓国が日本の成績をはるかに上回ったことについて、日本の一部メディアやサポーターから心ない反発も見られたのも事実。この問題では、引き続き開かれた第2セッション「W杯が日韓、東アジアにもたらしたもの」で各パネリストが言及した。
明治大学商学部助教授の山脇啓造さんは、同学部学生たちの反応を分析しながら、「大会前は韓国に対する関心がないという学生が圧倒的だったのに、日本の敗退後は大久保で日本人のサポーターが増え、韓国まで試合を観戦に行った例もある。インターネットを通じた一部アンチの高まりも韓国への屈折した関心の表れ」との見方だった。
コーディネーターを務めたルポライターの姜誠さんも、「安貞桓の写真集を欲しいという声を3回も聞いた。これまでになかったこと」と韓国への関心の高まりを肯定的に評価した。
一方、各パネリストからは「日本に住む外国人と一緒にワールドカップを楽しむという視点に欠けていたのでは」という問題指摘も。姜さんは多文化共生の観点から「自分の独自性を維持しつつ多様な価値観をどう受容していくのか、日本にとってこれからの課題となる」と締めくくった。
(2002.07.31 民団新聞)
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