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「不利益受けている」7割にも

就職、賃金、入居など



生活意識アンケート調査結果
大阪市内在住・外国籍住民

 【大阪】大阪市と大阪市外国籍住民施策有識者会議は、市内に在住する20歳以上の外国籍住民約4000人を対象に「生活意識」にかかわるアンケート調査を行った。その結果、「(外国籍ゆえに)なんらかの不利益を受けている」と考えている回答者は、全体の7割に達した。同市が外国籍住民を対象に大がかりな生活意識調査を行ったのはこれが初めて。


4千人対象実施
大阪市と有識者会議

 調査は「世界に開かれた交流のまち」をめざす大阪市が、大阪市外国籍住民有識者会議の「提言」を踏まえて98年3月に策定した大阪市外国籍住民施策基本指針の見直しのための基礎資料とするため実施した。

 基本指針は行政サービスの充実、教育、相互理解の促進の3本柱からなり、市としての今後の方策を定めたもの。回答者の約7割が「なんらかの不利益を受けている」とした今回の調査結果は、外国籍住民に対する方策のさらなる充実を迫るものといえよう。

 外国籍住民が受けていると訴える「不利益」は「就職時の偏見・差別」(34・3%)が最多。以下、「賃金・労働条件が悪い」(25・3%)、「結婚などで文化・習慣の違いからいやな思いをする」(19・5%)、「住宅入居時の差別」(15・2%)と続く。「特に不利益を受けていない」と答えたのは8・1%にしかすぎなかった。残り21%は無回答。

 「就職時の偏見差別」の具体例としては、「外国籍であることを理由に採用してもらえなかった」「社長・上司・同僚から母国や民族を傷つけるようなことをいわれた」「文化・習慣の違いでいやな思いをした」などが目立つ。

 同じく、恋愛・結婚においても、恋人・結婚相手の親や兄弟、親類などから「母国や民族を傷つけるようなことを言われた」り、「帰化を求められた」「文化・習慣の違いを理由に結婚を断られた」などのケースがあった。

 なお、入居差別では、「家主から日本国籍が必要と言われて入居を断られた」という回答が一般的。なかには「マンション・アパートの入り口に『外国人お断り』と書かれているのを見た」という体験者もいた。これらの被差別体験に限っては国籍による差はほとんど見られなかった。

 大阪市は今回、「共生社会」に不可欠な相互理解に関わる意思を把握するため、日本国籍住民を対象とした意識調査も併せて行っている。両調査結果は外国籍住民施策有識者会議の内部で小委員会を構成、8月から本格的な分析に入っていく。分析結果は来年、市に提出する「提言」に盛り込む。


■□
調査方法

 大阪市内の外国籍住民11万8926人(01年3月末現在)のうち約80・7%が「韓国及び朝鮮」籍(9万5988人)、「中国」籍1万3995人(11・8%)、その他8943人(7・5%)の順。単純な無作為抽出方法では「韓国及び朝鮮」籍が大半を占めるため、一定の抽出比のもと「韓国・朝鮮」籍2165標本、「中国」籍1295標本、「その他」国籍など814標本とした。01年10月17日に調査票を郵送、12月18日までに有効調査票1190を回収した。回収率は43・1%だった。

(2002.07.31 民団新聞)



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