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私らがつくった『さらんばん』

ハルモニパワーでデイハウスを自主運営



9月に2カ所目開設へ
2世世代が下支え

 【大阪】東大阪市内の夜間識字学級を卒業した在日同胞ハルモニらが昨年10月、昼間も集える場所をと同市内にデイハウス「さらんばん(居間)」を自主開所、好評を博している。現在のところ行政からの支援はなく、設備も不十分なままでの出発だったが、足りない什器備品はみんなで持ち寄った。ハルモニたちは「私らがつくった『さらんばん』」と自負している。

 開所にあたって中心となったのは市内の長栄中学に夜間4年間通い、卒業後も同校教室で時事問題や歴史を学ぶ10数人のハルモニたち。学習会は「ウリ・ソダン(寺子屋)」の名称で週3回、夕方6時から8時まで開かれている。

 「ウリ・ソダン」で学んできたハルモニたちもいまは大半が80歳代。高齢化が進むにつれて昼間の時間帯に集まれる場所を求めるようになり、デイハウス「さらんばん」の開所につながった。

 必要最低限の家財道具と什器備品類はハルモニが家からコツコツ運び込んだ。さらに運営費の一部も会費という形で負担しあっている。不足する資金は鄭貴美さんら「ウリ・ソダン」のスタッフが在日同胞社会にカンパを呼びかけ集めている。

 「さらんばん」は市内三ノ瀬にある2階建て民家を借りている。開所は月曜日から金曜日まで。このうち、週3回は昼食サービスがある。食事の後は韓国民謡「トラジ」や「ホルロアリラン」を歌い、体操をしたり、おしゃべりを楽しんだりで午後のひと時を過ごす。

 当初10数人だった仲間は口コミで評判が広がりいまは30人を超すことも珍しくない。この間、多くの出会いもあった。あるハルモニは「70歳にもなって友だちができた。こんなことってあるんやな」と述懐したほどだという。

 在日の若い世代との交流も盛んだ。食事の世話は6人のスタッフがボランティアで担当。そうしたスタッフの1人、金良順さん(23)は「ハルモニのパワーがすごい。私たちがパワーをもらっている」と話す。

 同じく鄭さんは「ハルモニたちは民族の知恵袋をたくさん持っている。それらを私たち2世世代が受け継いでいけるような環境づくりを考えていきたい」と意欲を燃やしている。

 9月1日には市内に2カ所目の「さらんばん」を開設する予定。東大阪市からはすでに許可を得た。これを機に街かどデイハウスとして市と委託契約を結ぶ話も進んでいる。

(2002.08.15 民団新聞)



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