民団新聞 MINDAN
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平和制度化

和解・協力本格推進に不可欠



「南北基本合意書」活性化を
軍事共同委の構成など問われる北韓の履行意思
設定済みの「共存枠組み」

 韓国の主要各紙は、「6・29西海交戦」以来、南北間緊張緩和と平和定着のための根本的解決策を講じるための南北軍事当局者会談の早期再開を強く促している。

 南北間では2000年9月に、分断後初の南北国防長官会談が開かれ、「6・15共同宣言」の履行を誓い、「軍事的緊張を緩和し、韓半島に恒久的で強固な平和を実現、戦争の脅威を除去することが緊要な問題との理解を同じくし、共に努力していく」ことを確認した。

 しかし、同年11月に予定されていた第2回国防長官会談は、北韓側によって無期延期され、韓国側が表明していた軍事直通電話(ホットライン)の設置、大規模部隊移動・軍事演習規模の事前通報、演習相互参観団交換などの協議や国防長官会談の定例化などは先送りされた。

 また、南北軍事境界線を通る京義線(ソウル〜新義州)の再連結と並行道路建設に必要な南北非武装地帯(DMZ)内工事の安全保障と関連した南北軍事実務会談も、2001年2月の第5回会談(板門店)で「軍事保障合意書」に妥結して以来、やはり北韓側の一方的な延期通告によって1年半以上開かれていない。このため同合意文書の交換・発効がなされず、DMZ内の工事着手が不可能となっている。

 北韓側がかねてから約束している金剛山観光活性化のための南北間陸路開設や、金正日・北韓国防委員長が今年5月に新たに表明した東海線鉄道・道路の南北再連結も、その実現推進には該当DMZ内工事の安全保障とDMZ開放・平和利用のための南北軍事当局会談が必要である。

 こうしたことから韓国側では、機会あるたびに、国防長官会談を含め南北軍事当局間会談の早期再開を呼びかけてきた。これと同時に、韓半島の平和定着のための最も核心的課題として「南北基本合意書」第12条の「不可侵合意」の実現を促している。

 第12条は「南と北は不可侵の履行と保障のために、この合意書発効後3カ月以内に南北軍事共同委員会を構成・運営する」と規定、「南北軍事共同委員会では、大規模部隊移動と軍事演習の通報および統制問題、非武装地帯の平和的利用問題、軍人交流および情報交換問題、大量殺傷兵器と攻撃能力の除去をはじめとした段階的軍縮実現問題、検証問題など軍事的信頼醸成と軍縮を実現するための問題を協議・実践する」となっている。

 南北双方は、これより前の第5条で「現休戦状態を南北間の強固な平和状態に転換させるために共同で努力し、このような平和状態が実現するときまで現軍事休戦協定を順守する」と規定、休戦状態から平和状態への転換を南北が主導的に実現することを約束している。

 そのためにも休戦協定に代わる平和協定を南北間で締結できるよう、双方が、既存合意を誠実に順守、軍事的信頼構築など緊張緩和に積極的に取り組まなければならない。南北国防長官会談の定例化に加えて、「南北基本合意書」に基づき構成された南北軍事分科委員会(92年3月から同年8月まで8回開き南北軍事共同委員会の名簿を交換)を再稼働させ、軍事共同委員会の速やかな構成・運営が望まれる。

 南北間の真の平和定着と南北交流・協力の画期的な拡大のためには、軍事的信頼醸成と緊張緩和措置が不可欠である。南北当事者解決原則に立脚し、経済協力から軍事的緊張緩和と軍縮にいたるまで、包括的な交流・共存の枠組みを設定した「南北基本合意書」を早急に蘇生≠ウせなければならない。

 再連結京義線の安定的運行と並行道路を活用した大規模な開城工業団地(韓国企業専用。2000万坪)の建設・運営、金剛山観光特区指定・陸路観光実現などを含む経済協力の継続拡大は、南北間緊張緩和と平和定着を伴う南北関係の安定化があってこそ保障される。「南北基本合意書」の活性化は、統一問題の自主的解決推進を柱とした「6・15共同宣言」合意の具体化のためにも欠かせない。北韓側の南北間信頼関係・平和体制構築意思のバロメーターともなる。


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92年発効の南北基本合意書

北韓側が棚上げ

 南北双方の総理が91年12月の第5回南北高位(総理)級会談で調印した「南北間の和解と不可侵および交流・協力に関する合意書」で、南北和解(第1章)、南北不可侵(第2章)、南北交流・協力(第3章)、修正及び発効(第4章)の4章25条から成る。

 双方が相手側の体制を尊重し、内部問題に干渉しないことを約束することで、平和的に共存する道を選択、本格的に和解の道を進み、政治、経済、軍事など諸分野で協力関係を推進する枠組みを定めた基本的文書である。

 91年12月末に南北双方が仮調印した「韓半島非核化共同宣言」と共に、92年2月の第6回南北高位級会談で正式に発効した。それに基づき、和解に関する合意を履行するための「政治分科委員会」、不可侵に関する合意の履行と軍事的対決状態を解消するための「軍事分科委員会」、協力と交流に関する合意履行のための「交流・協力分科委員会」がそれぞれ発足。重要問題での意見調整は、新たに構成される「和解」「軍事」「経済交流・協力」「社会・文化交流・協力」の4つの共同委員会に委ねられた。

 92年9月の第8回南北高位級会談時に、各共同委員会の付属合意書が発効した。これにより、南北は経済協力はもとより軍事・軍縮問題までも含め、関係改善作業を具体的に進め平和共存段階に本格的に入ることが望まれた。だが、92年11月に北韓側が南北高位級会談継続を拒否、各分科委員会開催にも応じず今日に至っている。このため「南北基本合意書」は機能せず、棚上げ≠ウれた状態にある。

(2002.08.15 民団新聞)



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