民団新聞 MINDAN
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南北長官級会談の結果

韓国主要紙の論調



●合意の実効性確保は難しい
●もどかしい韓国政府の態度
●核心的懸案またも先送りに

 第7回南北長官(閣僚)級会談(12〜14日)では、第2回経済協力推進委員会の開催や南北離散家族再会などに合意をみ、10項目からなる共同報道文が発表された。だが、肝心な軍事的信頼醸成と緊張緩和措置のための軍事対話は、またも先送りされた。今回の会談結果についての韓国主要紙の社説(8月15日)の要旨は次の通り。


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北軍部は南北政府の上?

 今回の会談結果は全体的に北韓側の意図が多く反映されたと見ることができる。それは対北韓支援問題を重点的に論議する経済協力推進委員会会議を優先的に開催することにした点から明らかである。今後、ほかの実務会談の進行推移は経済協力会談の結果に影響を受ける可能性が高い。

 また、今回の会談で西海交戦に対する北側の明確な謝罪、再発防止および責任者処罰の約束がなかったのは遺憾と言わざるをえない。

 今回の会談の進行過程と結果を見て、明確にしておかねばならぬことは、「北韓の軍部は南北政府の上部に存在する『拒否権グループ』なのか」という疑問だ。それは、南北会談の北側代表団はいつも自身らの軍部と関連した事項については言及自体を忌避してきており、今回も軍事会談の開催を軍部に建議≠ヘできるものの、合意はできないと終始主張、最後まで難航し、結局開催日程を決めることができなかった。

 北韓政府≠代表して会談に臨んだ代表団が「軍事問題はわれわれの所管でない」と主張するならば、それは自分たちの代表性に重大な欠陥があることを自ら認めることに他ならない。また、南北政府間で合意した事項であっても、北韓軍部が拒否する場合は無効だと主張しているのと変わりない。

 北韓の態度が変化しない限り、どのような会談も実効性の確保は難しいだろう。(朝鮮日報)


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経済協力への要式行為か

 われわれは西海交戦以降の初の長官級会談に、北韓が真しかつ率直で積極的な姿勢で臨むことを期待した。だが、北韓の交渉態度は、過去と大きく変わらなかった。

 南北が最後まで難航した軍事実務会談の日程問題は、京義線の連結と金剛山陸路観光路の開設など、休戦線を往来して行われる南北経済協力事業の推進のための前提となる事項だ。そういう点で、北韓が経済協力事業には積極的な姿勢をみせながらも、軍事実務会談の日程確定を最後まで避けたのは、矛盾と言わざるをえない。しかも北韓はわが方の共同報道文の内容とは異なり、「軍事当局者会談をそれぞれ軍事当局に建議する」と伝え、今後会談が開かれるかどうかすら疑わしい。

 さらにもどかしいのは、そうした北韓の思惑を十分にわかっていたわが政府だ。そもそも政府は「今会談で西海交戦問題をきちんとただし、武力衝突事態の再発防止のための軍事当局者会談の開催にも力を注ぐ」と確約していた。だが、会談は結果的に「北韓には与える一方で、われわれの要求はテーブルの上にも上げられなかった」格好になってしまった。会談が、北韓へのコメ支援など、経済協力のための要式行為だったと批判されても、政府は返す言葉がないはずだ。(東亜日報)


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半分の合意≠ノすぎない

 南北交流と協力を培い保障する基盤となる軍事当局者間会談の開催を「早い時期」とすることに合意し、京義線と東海線の鉄道工事を同時に着工するが、着工日時の確定を先送りしたのは「半分の合意」にすぎない。

 軍事当局者間会談は、南北間の緊張緩和と信頼醸成の基盤になる最も核心的な懸案だ。すぐにも京義線などの工事のためにこの会談が開かれ、非武装地帯(DMZ)の地雷撤去などに対する既存合意書を交換しなければならない。なによりも西海交戦事態が示唆したように、いつでも衝突可能な南北間の軍事的対立状況を和らげ、和解雰囲気を醸成するためには、双方の軍事当局者が協議すべき懸案が山積している。

 北側が南北間平和と協力を強調しながら、まさにその要となる軍事当局者間会談を忌避する背景がきがかりだ。北側が南側からコメ支援などの「実利」だけを受け取って、軍事当局者間会談をあれこれ理由をつけて遅延させようとする計算かもしれない。

 わが方が力を注いだ二つの問題に対し、こうした煮え切らない結果しか得られなかったのは、政府の会談戦略の不在に起因する。(中央日報)

(2002.08.21 民団新聞)



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