民団新聞 MINDAN
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10から20代支持母体に

日本で人気上昇K―POP



最近韓国ではt(ティー)
と名乗りソロ活動中の
ターシャ

ROBOT 企画開発部
プロデューサー 池田学

 今、日本でK―POPの人気が上昇している。お馴染みのBoAをはじめ男性6人グループのシンファなど、10代から20代を中心とする日本の若者たちの支持を得ている。日本でK―POPが受けている現状を見る。


若者の国際化が要因
けん引BOAは80万枚突破

 ワールドカップイヤーの今年、日本でBoAの人気が爆発した。統計によれば、彼女のアルバムは既に私自身の予想を上回るスピードとパワーでJ―POPファンの中に浸透し、80万枚近くを販売したという。

 彼女が日本語で歌っていることなどもプラスにはなっていただろうが、過去の日韓音楽交流の少なさなどを考えると驚異的な数字である。

 また前後して、韓国POPコンピレーションアルバムの「NUKES」シリーズや、98年3月にデビューした6人で構成されるボーイズ・ポップ・グループのシンファなどの韓国ポップアイドル達も、平均して1万枚を超えるセールスを着実にあげるようになってきた。

 ここで注目すべきは、今彼らを支持しているのが10代から20代の、流行や文化を支える中心にいる若者達であることだ。

過去にチョー・ヨンピルを始めとする韓国のスター達が日本で人気を博したときとは世代も音楽性も異なり、シンファなどは日本語ではなく、韓国語のまま歌唱もしている。

 こういった状況に至ったのは、多様化する現代の若者の趣向や国際化が関係しているのではないかと思う。外国の存在がより身近になった現代の若者にとって韓国は単に身近な国なのだろう。

 私自身、アイドルは音楽性というよりも社会・文化的趣向の側面が強いので、日韓のアイドル交流は難しいのではと考えていたのだが、それは杞憂だったようだ。単純にそのアーティストが魅力的か、曲がいいかという理由から若者は支持する、しないを決めている。

 この調子で行けば近い将来、馴染みのない韓国語という壁さえも、英語の歌を自然に若者が聴くようにあっという間に乗り越えてしまいそうな勢いである。この勢いに乗るべく今年後半登場するのが「t」ことターシャである。

 本国では常にトップクラスの人気を維持したまま駆け抜けてきた女性ラッパー/R&Bシンガーだ。在米僑胞である彼女の楽曲は英語、韓国語の双方が取り入れられ、圧倒的ともいえる歌唱力とラッパーとしての実力、そして本人の明るいキャラクターも手伝って、幅広い支持を日本でも受けることだろう。

 また彼女に続いて今秋以降日本進出を図るアーティストも何組か控えている。こう見ると明るい材料が豊富で、順調な発展が望めそうな日韓音楽マーケットだが、思えばこういった交流が普通になるのになんと長い時間がかかったことだろう。

 80年代、90年代初頭など交流のあまりなかった時代の韓国楽曲を聴くと、日本人の心にダイレクトに響く情感を伴った名曲と出会うことがままある。おそらく過去にもBoAやターシャのように日本人を魅了するような素晴らしい人材が多数存在していたかと思うと、なんとも惜しいことである。失われた過去を取り返して余りあるほどの未来にしていかなければ、と強い責任を感じる日々である。

 ワールドカップやBoAらによってやっと近づいた世界で最も似通った両国は、お互いの望むものを普通に共有すべき時に来ているのだから。

(2002.09.11 民団新聞)



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