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日本首相の北韓訪問発表

韓国主要紙の論調



●対南合意誠実履行に尽力を
●改革・開放へ説得の機会に
●日本との緊密な協議が必要

 小泉純一郎・日本首相は、9月17日に日帰りで北韓を訪問して金正日国防委員長と平壌で首脳会談を行うことを8月30日に明らかにした。北韓も同日「小泉訪北」を明らかにした。「小泉訪北」に関する韓国主要紙の社説(8月31日)の要旨は次の通り。


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北韓の開放姿勢

 北韓をめぐる情勢が激しく揺れている。

 金委員長が対南対話チャンネルを全面稼働させながら、周辺主要国首脳らとの対話を拡大するとことは、韓半島情勢の安定化に肯定的な影響を及ぼすだろう。このような点から、10年余も引き延ばされてきた北・日間の修交交渉および懸案妥結の転機づくりのために、小泉首相が首脳会談を提議したことは目を引く。提議を受け入れた金委員長の決断も評価される。こうした姿勢であれば、金委員長の(ソウル)答礼訪問で南北韓間の平和保障装置と協力方案を深く議論できぬ理由はない。

 北韓のこのような積極的姿勢は、南北長官(閣僚)級会談および経済協力推進委員会会議、アジア競技大会参加決定などで示された。北韓が7月から推進中の経済改革を成功させるために外部の手助けが切実に必要な状況が、対外開放を促進したとみられる。その結果、きのう終わった南北経済協力推進委員会会議で合意された内容は、北韓側の実践意志を前提にしたものと分析される。

 南北が画期的な経済協力実践方案に合意したことも評価できるが、この合意の最も重要な意味は、軍事的な緊張関係を緩和し平和を定着させるための最初の具体的な動きとして作用するというところにある。休戦線を貫通する東西両側の鉄道と道路が南北を連結することは、韓半島分断57年の閉鎖と悲しみを打ち崩す歴史的な契機となるためだ。

 したがって北韓は、対外開放をさらに拡大し、対南合意をきちんと履行し、韓半島に長い間存在していた冷戦体制の障壁を実質的に崩すよう最善を尽くさなければならない。米国と日本も北韓の開放姿勢に相応する協力と支援を惜しんではならないだろう。

(中央日報)


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小泉訪北と韓半島の平和

 日本政府が昨日発表した小泉純一郎首相の平壌訪問および日・北首脳会談の開催は、一般の予想を覆す状況展開だ。

 これまでの韓米両政府の反応からして、十分な韓米日3国の事前協議が不足だったとの感が否めない。したがって、日本政府は韓米両政府に対し、北韓との協議内容を詳細に説明し、首脳会談の議題および対策などに関する協調要請に外交的努力を傾けるべきだ。

 特に重要なのは会談の議題だ。日本人拉致問題など日本国内で重大な懸案ももちろん取り上げられるべきだろうが、韓半島の平和および安全問題もまた疎かにしてはならない。北韓の核・ミサイルから韓半島の緊張緩和といった問題まで、韓米日3国の共通認識をきちんと伝えてもらいたい。また、北韓指導部が改革・開放に向かうよう説得する機会とすべきだろう。だが北韓が、日・北首脳会談を国際的な対北核・ミサイル放棄圧力を各個撃破する機会に利用しようとすることは警戒しなければならぬ。

 この際に韓米日3国の協調全般に対する再点検が必要だ。韓米日の協調が対北政策の目標と推進方法などをめぐり、深刻な不協和を表しているからだ。

(朝鮮日報)


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政府の果たすべき役割

 北韓と周辺国の対話は望ましい。日本首相の訪北も、韓半島の緊張緩和と北韓の国際社会編入のための一歩だという点で歓迎に値する。ただ、今回の訪問が、小泉首相の人気回復のための「びっくりショー」であってはならぬという点を指摘したい。

 日本は、2年前に北・米間で進められた「華やかな訪問外交」を思い起こす必要がある。趙明祿・北韓国防委員会第一副委員長とオルブライト米国務長官(当時)の交互訪問で関係正常化への期待が高まったが、両国関係は米国の政権交代とともに一日で凍り付いてしまった。日本は、小泉首相の北訪問が韓半島の平和に実質的に寄与するよう、慎重に取り組んでもらいたい。

 韓国政府がやるべきことは明白である。北・日首脳会談が「他人事」でないことを認識し、日本と緊密に協議して望ましい結果が得られるよう最善を尽さなければならない。可能ならば北韓とも接触する必要がある。

 政府は金国防委員長の答礼訪問問題についても隠し事があってはならない。政府が万一、密室交渉を通じて答礼訪問を実現させようとするなら、決して国民の支持は得られない。

(東亜日報)

(2002.09.11 民団新聞)



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