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3世から共感と反発

「在日」の生き方めぐり



「民族共生連続講座」
映画「GO」からアイデンティティ考える

 在日同胞3世世代と保護者、日本人の教員らが一緒になって昨年、話題になった韓日合作映画「GO」(金城一紀原作)を鑑賞しながら「在日」のアイデンティティについて語り合う集いが15日、都立竹台高校会議室で開かれた。

 「民族共生教育をめざして」と題した連続講座の一環で、「民族共生教育をめざす東京連絡会」と「民族共生教育をめざす東京保護者の会」が共同で主催した。

 会場には在日3世の高校生や大学生が保護者とともに参加、国籍や家柄といったものだけにとらわれずに自らのアイデンティティを序々につかんでいく主人公に自らの生き様を重ね合わせながら感想を語った。

 高校在学中の金錫俊君は「自分は自分であればいい。自分の国籍を誇ることも、逆に劣等感を感じることもないことが実感できた。差別のこととか、日本人の彼女と話し合うきっかけもできた」と共感を述べた。

 これに対して、大学生の呉珠玲さんは、主人公が民族や国籍といった問題に正面からぶつかろうとしないことが「納得がいかない」という。「自分が何人でもいいではなんの解決策にもならない。もし、自分に好きな人ができたら、その人の国籍は当然気にかかる」と感想を述べた。

 保護者の立場からは、東京・荒川で「コブクソン子ども会」を主宰している呉崙柄さんが「『在日』としてのもっともっと複雑な問題を積み残しているような気がする。最後は何人でもいいじゃないかといいながら終わるが、自らの出自を素直に受け止めようとしないのは問題だ」と批判的。

 一方、在日韓国人問題研究所(RAIK、東京・新宿)の佐藤信行さんは「(原作の背景には)大学入学時から本名宣言した在日韓国人が同級生から『日本語上手ね』といわれるなど、『在日』の『在日』たるゆえんが日本の歴史教育の中で教えられていない現実がある。アルバイト先では外国籍を理由に断られるなど、差別は再生産されている。こうした現実を踏まえたうえでの才能ある在日3世の問題提示と受け止めるべきではないか」と締めくくった。

(2002.09.18 民団新聞)



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