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じわり浸透

大阪府教委「指針」



府立高校在日生徒本名使用率アップ
民団大阪本部の働きかけ実る

 【大阪】全日制の大阪府立高校に在籍する在日同胞生徒の本名使用率が、00年度から少しずつ上昇していることがこのほど分かった。

 大阪府教委によれば、99年度まで11・1%だった本名使用率は00年度から上向きはじめ、02年度には15%を記録したという。これは府教委が18日、大阪府庁舎で行った民団大阪府本部との話し合いの席で明らかにしたもの。

 府教委は民団側の要望を受けて98年3月に「在日韓国人(外国人)教育に関する指導方針(指針)」を改訂、本名指導の原則を明記した。これと関連、01年3月には大阪府立学校長にあてて「在日韓国・朝鮮人児童生徒の本名使用に係わる指導の推進について」と題する「通知」を送付するなど、在日同胞生徒が教育現場で本名を名乗り、名乗れる環境づくりに努めてきた。

 また、本名原則の明記をうたった就学案内についても、府教委のこれまでの働きかけの結果、98年度の2市から03年度には15市町村に広がることが確定している。

 民団側は、今回の本名使用率の向上について「府教委の『指針』具現化に向けた様々な取り組みの成果が、府立高校を中心に徐々にその成果が表れたもの」と肯定的に受け止めている。


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末策定は2市のみ

 今回の話し合いは、民団大阪府本部がさる8月7日に大阪府教育委員会に提出した民族教育に関する「要望書」に基づくもの。府教委からは向井正博人権教育企画課長ら15人、民団からは金R秀文教部長をはじめとして婦人会、青年会代表など5人が出席した。

 今回の民団側の要望は「指導指針」の具現化、教職員研修、府立高校、民族学級など25項目にわたっていた。なかでも民団が重視してきた「本名原則」をうたった「指導指針」の策定はこの間、着実な広がりを見せており、大阪府内43市町村と大阪府・大阪市のなかで未策定はわずか7市町だけ。このうち、四条畷市と岸和田市を除く5市町はすでに「人権教育基本方針」で「本名原則」を明記しているだけに、実質的には2市のみとなった。

 民団側はこの2市について、府教委にあらためて強い指導を要請。またこれから入学してくる全高校生を対象に本名に関するリーフレットを配布するよう求めた。

 席上、府教委は教職員研修の一環として、これまでの差別事件を教訓化した『事例集』を10月に発行すると予定だと明らかにした。これとは別に『府立学校人権推進資料』の編集も進んでおり、12月から各府立高校に配布していく。同本部の関係者は「大阪では教育委員会を中心に人権教育が進み、在日韓国人の子どもが本名を名乗りやすい環境は整いつつある」と積極的な本名使用を呼びかけている。

(2002.09.25 民団新聞)



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