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重国籍の子どもたち



 東京韓国学園の「土曜学校」に通ってくるオリニの母親に取材したところ、国際結婚による重国籍の子どもたちが以外に多かった。この大半は韓国から嫁いできた女性と、日本人の男性の間に生まれた子どもたちのようだ。将来、いずれの国籍を選ぼうとも、両方の文化を楽しみながら生きていってほしいと、当事者のオリニを見ながら思った。

 いまや、「多民族・多文化共生社会」を目指そうとする流れは、全国に広がりつつある。「教育指針」にしても、多様な国籍と民族的背景を持った子どもたちの存在を視野にした改訂が各地で進んでいる。それでもまだ韓国と日本の重国籍の子どもたちが、韓国や民族にかかわるアイデンティティを育める環境にはなっていない。

 これらの子どもたちは小学校入学の時点から住民票にもとづき、日本人として処遇されるのだ。文科省も毎年5月に実施する学校基本調査の記入にあたっては「日本と外国の両方に国籍を有するものは日本人とする」旨を明記している。だから、家庭訪問や学級懇談会などの席でその子どもが重国籍の子どもだと分かったとしても、学校基本調査では日本人として計上されてしまうのだ。

 「多民族多文化共生」があたりまえのようにいわれながら、足下の重国籍の子どもたちのことがこぼれ落ちていく現実。これはなんともやりきれないと思った。(K)

(2002.10.16 民団新聞)



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