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W杯後も積極交流拡大を

韓・日文化会議が提言



「ソウル宣言」を発表

 韓日両国の文化交流のあり方を双方の識者が話し合う「韓・日文化交流会議」(共同座長=池明観翰林大教授、三浦朱門氏)は、7日にソウルで第4回全体会議を開き、「韓日文化交流に関する宣言(ソウル宣言)」を発表、文化交流の積極的拡大を呼びかけると共に「『ソウル宣言』に関する実践計画」を明らかにした。「宣言」「実践計画」の全文は次のとおり。

 韓日両国の国民的な行事であった2002年サッカー・ワールドカップの共同開催を成功裏に終え、「2002年韓日国民交流年」に関連する事業が順調に進展しつつある今日、韓日文化交流会議は両国政府と国民に改めて韓日文化交流の積極的な拡大を呼びかけるために、「韓日文化交流に関する宣言」(ソウル宣言)を発表する。

 (1)ワールドカップ共同開催と「韓日国民交流年」

 サッカー・ワールドカップ大会の韓日共同開催は、単なるスポーツの祭典ではなかった。それは韓日両国が挑戦する有史以来の国民的な共同作業であり、国民相互の信頼を構築するための絶好の機会であった。相互の信頼は国民レベルでの共同作業とその成功体験を媒介として醸成されるものである。われわれの世代がワールドカップと「韓日国民交流年」関連事業を国民的な行事として成功させたことは、韓日の次の世代に対するよき遺産として語り継がれることだろう。

 スポーツの世界では「よきライバルがよき友人である」ことは珍しくない。韓日両国は互いに切磋琢磨しつつ、心から協力する姿を世界に示すことに成功した。韓日文化交流会議は、ワールドカップ共同開催を通じて実現した韓日国民交流が、今後の両国間の文化交流のよきモデルとなることを切望する。

 (2)関心と共感の画期的な拡大

 韓日文化交流は、現在、きわめて重要な局面を迎えている。ワールドカップを契機に韓日両国間の人的往来が劇的に拡大し、それぞれの相手国が急速に身近な存在となった。1965年の国交正常化当時、両国間を往来する人々は一年間に約一万人にすぎなかったが、現在、わずか一日の間に同じ数の人々が両国間を往来している。

 文化交流はすべての交流の土台となるべき重要な分野であるが、韓日双方に相手国に対する関心や共感がなければ成立しない。その意味で、それぞれの映画、音楽、ファッション、食文化などが紹介され、素直な共感を生んでいることは極めて鼓舞的な現象である。それらが両国国民間の信頼の醸成に画期的な役割を果たしていることは、最近の世論調査に明確に現れている。我々は観光や大衆文化の領域で培われたこのような関心と共感をあらゆる分野に広め、両国民間の文化交流を深化させる努力を続けることがこれからの課題であると考える。

 (3)新しい文化共同体の形成

 韓日の間には、共通の未来を構築するために必要な土台がすでに整っている。何よりも、血の滲むような努力によって、韓国と日本は民主主義と市場経済体制を構築し、それぞれアメリカとの間に緊密な安保関係を維持している。いまや、韓日間には「体制摩擦」は存在しない。いいかえれば、両国関係は「体制共有」が価値観の接近を促す段階に入ったのである。事実、韓日両国が描く21世紀の国家像は共通しており、それは伝統文化と先進技術を基盤とする貿易・産業国家であり、道義、人権、平和、そして文化の尊重においても、世界に誇り得る国際国家である。

 しかし、韓日両国はいまだに不幸な過去から必ずしも自由であるとは言いがたい。この「過去の記憶」をどう克服し、個性豊かな文化を育てながら韓日文化共同体をどのように創りあげていくのかが残された重要な課題である。このような課題の克服を通して、東北アジアの未来を切り開くために共に協力することが期待される。

 (4)韓日文化交流に関する提言

 ワールドカップ共同開催と「韓日国民交流年」関連事業は、両国国民間の距離を縮めるのに大きな役割を果たした。このような趨勢をさらに進展させるためには、今後も、両国国民間の交流が完全に定着するまで、いくつかのシンボリックな文化交流事業を継続する必要がある。高句麗古墳群を含むアジア文化財の保存・補修や、そのための韓日共同研究など、「共同作業」型の文化交流を発掘し、積極的に展開するべきである。

 それとともに、地域間の文化交流やNGOのユニークな活動を通じた交流、特に青少年の交流等、韓日文化交流ネットワークの拡大を積極的に支援するべきである。また、中国、モンゴル、中央アジア諸国、ASEANなどを加えて、アジア的な規模をもつ文化交流を構想し、韓日が「共同のイニシアチブ」を発揮するべきである。これらを念頭におきつつ、韓日両国は、バランスのとれた双方向の文化交流を積極的に推進していかなければならない。


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「ソウル宣言」実践計画

 1、韓日文化交流会議は、両国で行われる文化行事に可能な限り相手国の文化団体が参加できるよう積極的に努力する。 2、韓日文化交流会議は、両国の文化団体が交流を行う際、可能な限りの各種便宜を提供するため努力する。

 3、韓日文化交流会議は、両国の文化関連機関等、各種団体や機関の実務者間交流を積極的に奨励する。相手国の言語を学習し、一定の期間研修を行う交流がさらに望ましい。

 4、韓日文化交流会議は、両国の地域間親善交流の拡大に努力し、青少年(中・高生)交流のための展示・公演等の活動の活性化に積極的に協力する。また、両国国民間の紐帯感を高めるためにはホームステイが非常に重要であり、これを奨励する。

 5、韓日文化交流会議は、自国が認定する各種資格を両国が標準化し、相互認定することによって文化交流のための協力を一層強化すべきであると考え、これに対して両国間の法的協議が行われることを希望する。

 6、韓日文化交流会議は、両国間の大衆文化交流がより一層実際の効果をあげることが出来るよう、両国の大衆文化産業の間においても相互協力が行われることを希望する。

 7、韓日文化交流会議は、両国が共同で実施する文化行事に東アジア諸国も漸次参加できるよう努力する。

(2002.10.16 民団新聞)



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