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開城工業団地進展がカギ

韓国企業の新義州特区進出



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危険度高く、インフラ不備
西側企業も2〜3年は静観

 北韓の新義州特別行政区への韓国企業の進出は、開城工業団地開発の進展如何にかかっている。

 韓国貿易振興公社(KOTRA)は、「北韓新義州特別区設置の背景と展望」と題した報告書(10月1日発表)で、韓国企業は投資先として新義州より南浦や平壌を想定しており、現在進められている開城工業団地事業の進展が韓国企業進出のカギとなると指摘した。

 同報告書は、開城工業団地が早期に造成されれば、新義州に進出する韓国企業は多くならないが、事業が遅延したり、支障が生じた場合には北韓進出の橋頭堡として新義州への進出が活発化すると予想。同時に、「新義州特区の成功は外国人投資を誘致できるかどうかという問題に集約される」と強調している。

 西側企業の進出について「北韓の開放志向的な特区戦略の発表で外国人の投資家の関心が高まったことは事実だが、西側の投資家たちはまだ北韓は投資危険が高く、新義州のインフラ与件もよくないと感じている。当分間状況を注視し、進出妥当性を検討するなど様子見が続く」と分析。

 KOTRA北韓チーム課長は「距離やインフラの面で開城工業団地への進出を計画している企業が多いのが現実である。大多数の企業は最少数カ月間、開城工業団地事業の進み具合を見守りながら新義州特別区への投資如何を慎重に検討するだろう」と述べた。

 ただ、報告書は、新義州特別区の独立性が保障され、特区内で得られた利益が再投資され、インフラ改善に使用されれば、同特区も成功する可能性があり、西側企業の進出が本格化すると展望。初期(向こう2〜3年)は、西側諸国の企業よりは主に中国・華僑系企業の進出が予想されるとしている。

 だが、投資環境が改善されなければ、新義州特区は、失敗した経済特区とされている羅津・先鋒地区(咸鏡北道)の前轍を踏むと分析した。


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新義州特区長官
依然軟禁状態に

中国公安当局が「疑惑」捜査継続

 北韓の新義州特別行政区の初代行政長官に任命されたオランダ籍の華人実業家、楊斌氏は、今月4日に自身が会長を務める欧亜グループの中国瀋陽本社で、北韓訪問のため出国する直前、遼寧省の公安当局によって拘束、連行され取り調べを受けた後、自宅軟禁の状態に置かれている。

 中国外務省の辛啓月副報道局長は、8日の定例記者会見で「楊氏と彼の所属する企業には多くの違法行為の容疑がある。公安部門は今後も取り調べをするだろう」と明らかにしていた。

 楊氏は9月24日、北韓最高人民会議常任委員会総会で新義州特別行政区長官に任命され、行政長官就任宣誓を行った際、北韓国籍も取得している。


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中国の丹東市東港地区に
韓国専用工団造成

双方契約

 北韓が特別行政区に指定した新義州に隣接した中国遼寧省丹東市に「韓国企業専用工業団地」が造成される。

 韓国産業団地公団と中国丹東市が5日、ソウルで「丹東韓・中産業協力モデル工業団地造成」に関する契約を締結した。契約式には、辛國煥産業資源部長官、李孝鎮産業団地公団理事長、丹東市の蔡哲夫党書記、于國平東港区長(丹東市計画委員会主任)らが出席。

 この工業団地は、丹東市の「東港経済開発区」の中にあり、北韓の新義州と川(鴨緑江)一つへだてており、ソウルとは420`の距離にある。産業資源部では、京義線鉄道(ソウル〜新義州)再連結工事が終われば、中国横断鉄道(TCR)につながる産業・物流の拠点になると期待している。

 双方は、早ければ今月末から段階的に工事をスタートさせ、第1段階として来年8月末までに8万6000坪くらいを開発し、今後30万坪まで拡大する計画だ。

 第1段階として造成される工業団地には▽北韓への進出に向けた拠点確保を希望する企業▽衣類・電子・繊維・履き物など労働集約業種▽現地の天然資源を活用できる木材加工と水産物・食品関連の会社など約40社を誘致する予定。

 産業団地公団が今年6月、需要調査を行ったところ、48企業が合計10万坪を使いたいと表明している。

 産業資源部は「敷地の使用は、50年の長期賃貸で、暫定の分譲価格が1坪6万〜7万ウォンであり、遼寧省内の他の地域より割安なうえに新義州とも近く、中国進出を希望する韓国企業の集積地域として有望」としている。

 ちなみに、丹東地域は新義州特区とは鉄橋でつながっており、昨年北韓との交易量2億j規模の中国・北韓間辺境交易量の70%を占めている。韓国企業は、今年4月現在138社が8200jを投資している。

(2002.10.16 民団新聞)



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