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社説
戸別訪問で支部活性化を


 全国の民団支部は五月中に定期大会(総会)を開催し、先に開かれた中央委員会、地方委員会での決定事項を事業に反映し具体的な活動態勢を整える。

 言うまでもなく支部は民団の基本組織であり、団員との日常的な接点である。すべての活動の窓口的役割を果たす組織活動の原点でもある。

 支部組織は創団以来、日本の津々浦々で在日同胞に韓民族としての誇りを持たせ、親睦を図るとともに同胞の権益を向上させ、また祖国の発展を期して率先して活動してきた。


幹部の率先で成果

 在日同胞社会は今、一世人口が全体の数%にまで減少し二・三世が中核をなす中で、今後五十年、百年先の同胞社会のあり方を見通した方向性を打ち出していくべき時期にきていると言われる。

 民団の構成員は創団当初、全同胞のわずか一〇%に過ぎなかった。それが今では中央本部のもとに四十九の地方本部と三百二十七支部を擁し、構成員も約五十万人を占め、同胞社会では圧倒的な影響力を行使できるまでになっている。

 民団は七〇年代以降、住宅入居差別の撤廃や児童手当の獲得、国民年金への加入、指紋押捺制度の撤廃など、在日同胞の生活実態に即した権益を擁護するのに大きな力を発揮してきた。

 これらの活動はすべからく支部幹部が率先して行ってきたものであり、多くの成果を挙げてきたことは高く評価されるべきであろう。だからこそ組織も現在のように大きな発展を遂げられたに違いない。

 ところが一方で、組織と団員のあいだに距離感があるのか、民団が取り組んできた運動の成果が団員に正確に伝わらず、「民団は何をしているのか」との批判をときに聞かされてきたのも事実だ。

 「組織離れ」が進んでいると言われる同胞社会にあって、民団は昨年、同胞宅を一軒一軒訪問するという「百二十日間運動」を展開した。

 同胞との対話の中から地方参政権への期待の大きさを実感し、生活の実情を把握するとともに民団に対する要望を聞き、これまでの活動の成果を知らせもした。


同胞との対話が基本

 組織にとって構成員の中に入っていく密着型の活動は、基本中の基本と言える。これまでややもすれば支部幹部の目が足元を素通りし、外に向きすぎるきらいがなかっただろうか。

 創団当時、日本に住む同胞は帰国を急ぎながらも、困った人がいれば誰かれなく助け合い、子弟の教育のため学校を作り、近所に住む人は互いに足りないものを補充しあったという。同胞同士のつながりが精神的にも社会的にもどれほど強かったかがうかがえる。

 五十年前と現在では、状況も当然違っている。だが、組織が「相互扶助」を基本とすることは今も昔も変わらない。その基礎は戸別訪問にある。

 支部幹部が、地方参政権獲得運動や民族教育、同胞の結婚問題、総連との和合など、民団の現在の取り組みや課題を団員に直接伝え、団員からも民団に対する意見や要望を聞く。

 それでこそ、組織と団員との有機的な関係が強まるのである。団員の生の声を聞かずしてこれからの組織運営は成り立たないと言っても過言ではなかろう。

 支部大会(総会)を機会に、同胞との対話を一層進めていきたいものだ。

(1998.5.20 民団新聞)



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