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川崎市ふれあい館が10周年

「共生社会」地域に根づく地道な実践で信頼得る


10周年を迎えた川崎市ふれあい館

 【神奈川】在日同胞と日本人のふれあいを目的とする川崎市ふれあい館(ハイ重度館長)が十四日、開館から満十周年を迎えた。この間の利用者数は累計四十万人を超えており、今や地域の子供から大人まですっかりなじんでおり、なくてはならない存在となっている。


利用者延べ40万超える
相互理解へ多彩なイベント

 十周年を記念して十三日に川崎市立労働会館で記念式典と祝賀公演が行われた。会場は市民ら八百人余りで埋まった。この多くはふれあい館の社会教育事業、児童福祉事業などを通じて館と結びついてきた人たちで占められており、十年間の着実な積み重ねを感じさせた。

 ふれあい館が在日韓国・朝鮮人の多住地域である桜本一丁目にオープンしたのは八八年六月のこと。互いの歴史・文化などを理解し、「共に生きる地域社会を創造していく」ことを目的として川崎市が設置した。当時、同地区としては最初の公共施設だった。

 ただ、市が運営を社会福祉法人青丘社(李仁夏理事長)に委託することが明らかになってからは地元町内会などからの反対にあい、着工が一年遅れた。ようやく開館にこぎつけてからも一部住民の間には不安と戸惑いは残っており、多難な船出となった。

 こうしたあつれきのなか、ふれあい館では地道な実践を積み重ね信頼を勝ち取っていった。九〇年に地元商店街主催の「日本の祭り」にふれあい館から農楽隊が参加したのは、その象徴的な表れだった。このようにふれあい館での学習やイベントは、ただ単に館のなかにとどまらない。地域への発信母体となり、地域の人々の心を揺り動かしてきた。

10周年公演会で披露された民族舞踊

 例えば識字学級は高齢者クラブ「トラジの会」活動につながっている。ふれあい教育の実践は地元の公立学校に広がり、緊密な連携で成果をあげている。また、地域の街づくりにおいても主導的役割を果たしてきた。この他、外国人施策に向けた委員会への参画などの市民運動もふれあい館の周辺から発信されていったものだ。

 式典ではこうした十年間にわたるふれあい館の実践に対して、高橋清市長をはじめとする各来賓の祝辞が披露された。このあと、「コリア伝統文化を舞い、打ち、踊る」と題する十周年記念公演が行われた。

(1998.6.17 民団新聞)



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