民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
“信念の闘い”に支援の輪
各地団体が共同集会

「平等に生きたい」思い訴え


 外国人登録法、地方参政権、公務員国籍条項の各問題で最高裁に係留され、孤独な闘いを続ける在日韓国人の当事者を励まそうと各地の支援団体が集まり二十二日、都内の総評会館で「在日問題最高裁関連共同集会」を開いた。すでに崔善愛さん(38)の再入国不許可処分取り消し訴訟では逆転敗訴に終わっただけに、支援団体では今まで以上に原告団の闘いを陰で支えていくことを誓った。

 現在、最高裁で憲法を軸とする訴訟が続いているのは、尹昌烈さん(41)らの指紋押なつ拒否逮捕違法訴訟、定住外国人に地方参政権が与えられていないのは憲法違反とする福井の李鎮哲さん(67)ら四人を原告とする訴訟、さらに外国籍のため東京都の管理職試験受験を拒否された鄭香均さん(47)が都を相手取って起こしている訴訟など少なくとも四件が確認されている。

 このうち、崔善愛さんの逆転敗訴にみられるように、外国人管理のような国の制度的根幹に関わる問題については、最高裁も消極的な判断を示してきた。外国人登録について合憲判断を下しているのがその象徴的一例だ。

 尹さんについては二審・高栽判決が「違法逮捕」と認め、国と京都府に四十万円の支払いを命じた。これを不服として国と京都府が上告、七月十七日に最高裁第二小法廷で口頭弁論が開かれる。

 書面審理を原則とする最高裁が原告と被告の双方から主張を聞くのは異例。何らかの形で高裁判決を見直す可能性が高い。

 この日の集会席上、尹さんは「(最高裁で)引っくり返されたら子ども達が周囲からどう見られるのか恐い。気持ちのうえでは今のままで終わってほしい」と苦渋の表情で逮捕から今日に至る十二年間を振り返った。

 同じく李鎮哲さんも最高裁で訴えているものが棄却されることは確実視されているだけに、その胸中は複雑。集会には出席できなかったが、書面を通じて「最高裁での棄却後、何をするべきか、対応方法が思いつかない。考えてほしい」と心情を述べた。

 一方、東京高裁で逆転勝訴した地方公務員国籍条項問題については、原告側弁護人も最高裁の勝利を信じている。金敬得弁護士は、勝訴を前提に「最高裁がどんな論理をもってくるかに興味を持っている」と述べた。

 そのうえでこれまでの裁判闘争に触れ「裁判で負ける勝つはともかく、現実に日本の制度の壁を運動の力で破ってきた」事実を強調、決してあきらめてはならないと各原告を激励した。

 また、この日、基調報告をした島根大学の岡崎勝彦教授(憲法、行政法)は、定住外国人の地方参政権訴訟に対する憲法上の容認判決を例に「制度の運用に関わる部分についてはこの五年間で独自の主張を出してきている」と分析した。

(1998.6.24 民団新聞)



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