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在日2世作家 梁石日さんに「山本周五郎賞」

都内で授賞式


 その巨漢と凶暴な性格のため、極道からも恐れられた自らの父親をモデルに在日韓国人社会の変遷を描いた小説『血と骨』で山本周五郎賞(財団法人新潮文芸振興会主催)受賞が決まった梁石日さんに十九日、記念品と副賞百万円が贈られた。同賞は三島由紀夫賞、新潮学芸賞、日本学芸大賞と並ぶ「新潮四賞」のなかでも「物語性を有する新しい文芸作品」が評価の基準となっている。

 主人公の金俊平は済州島から渡日、大阪の在日同胞密集地で酒、女、博打、金儲けと、自らの人生を孤独と猜疑心のなかで疾走していく。作者は金俊平との関係を通して血のつながり、一人の業深き男の激烈な死闘と数奇な運命に迫った。小説としては著者一年半ぶりの新作だ。

 都内のホテルで行われた授賞式で選考委員の一人、阿刀田高さんは「作者自身のお父さまを忠実に描いている。気力充実していないと読めない力強い作品」と讃えた。

(1998.6.24 民団新聞)



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