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公務員採用の国籍条項
大阪府が撤廃へ

府下全自治体で足並み揃う


 【大阪】大阪府は一部条件付きながら知事部局すべての職種で国籍要件を撤廃するとの意向を固め六月二十九日、府人事委員会に申し入れた。実現すれば、都道府県レベルでは高知、神奈川、沖縄に続いて四番目。大阪市ではすでに消防職を除いて国籍要件の全面撤廃に踏み切っているだけに、これで府内の全自治体が一般行政職の開放で足並みをそろえたことになる。

 任用にあたっては自治省の見解に忠実に従った。神奈川県同様、本庁の部長など「公の意思形成に参画」する職は除かれており、ラインの参事といったスタッフ職中心になる。さらに予算、企画、人事担当部門や許認可業務といった職務についても「公権力の行使」にあたるとして就けない。

 府は八七年度までに警察、教育部門以外の知事部局百二十八職種のうち、百十八職種で部長職などを除いては国籍要件を撤廃していた。残る十職種のうち一般行政、土木、建築、衛生工学についても同様の措置をとることになる。これ以外の六職種については今後の採用計画がないため、実質的にすべての職種にわたって部分撤廃の範囲を広げるというものだ。

 ただし、府は財政危機に陥っているため、来春は一般行政職の新規採用を凍結。このため、外国籍者の新規採用が実現したとしても二千年以降になりそうだ。大阪府や各市町村に対して一九七三年から国籍要件の撤廃を要望してきた民団大阪府本部の金ゲン秀国際部長は六月二十六日、府庁での記者会見に臨み、「一定の前進」と評価しつつも任用上の制限に触れ、「法的根拠がない。不当性をさらに訴えていく」との考えを表明した。金国際部長は「外国籍住民を地域社会の一員として受け入れることのできない『心の国籍条項』の壁の問題だ。いま、なぜ撤廃するかの理由も不鮮明だ」と述べた。


朴一・大阪市立大助教授の話

 大阪府が開放の方針を決めたことは、国際化の流れを考えたとき当然のこと。むしろ遅すぎたくらいだ。これから問われるのは昇進の問題。特に課長が焦点になる。どの分野で可能でどの分野がだめなのか、もっと議論されていい。たとえば国際理解教育課といった新しいセクションを設けて、そこのトップに定住外国人を据えるということも考えられる。大阪府はローカルスタンダードではなく、グローバルスタンダードの面にたった地方自治の国際化を推し進めていってほしい。

(1998.7.8 民団新聞)



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