民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
オリニの未来見つめて<7>
各地の保護者会・オリニ会の動き

西宮・コッキリの会


シルム(韓国相撲)など親子がいっしょに楽しむ企画も多い


民族との出会いの場を

 子どもたちが民族をマイナスのものとしてとらえないように、小さな時から親戚以外の同胞の子どもたちと交流する場を、との思いから「西宮民族子ども会コッキリの会」は九一年に誕生した。コッキリとは子どもたちの好きな象のこと。

 すでに西宮では「在日韓国・朝鮮人教育基本指針」が策定されていたが、行政の具体的な取り組みはなく、大阪で民族学級講師を務める金園恵さんが地元の西宮でも「民族との出会いの場」を、と西宮在日外国人児童生徒保護者の会に持ちかけたのがきっかけとなった。

 その呼びかけに西宮在日韓国・朝鮮人教育を考える会の日本人教師らも即応し、八月二十七日、「夏休み宿題何でも相談」と題した第一回コッキリの会が旗揚げした。同胞の思いが実を結ぶまでわずか一カ月の早業だったが、その背景には子どもの将来を常に案じる親たちの気持がある。

 子ども二十人を含め三十四人が集まる初会合では、子どもたちは初めて本名の名札を胸につけ、緊張気味だったが同世代の同胞と知り合い、友情を芽生えさせていく。十一月に行われた第二弾のピクニックには、子どもの数も三十二人に増えていった。

 今年で七年目を迎えるコッキリの会の代表は、在日二世の兪貞恵(45)さん。同胞多住地域の尼崎市で在日大韓キリスト教会を母体とする保育園の保母を務めて七年になる。

 入園書類の欄に本籍、国籍欄がないため、在日同胞を特定することはできないが、長年のカンによれば六十人の園児の中で三分の一は同胞という。そのうち本名通園は一家族二人だけだ。中には親すら本名の韓国語読みを知らないこともある。

 「本名を勧めるが、ほとんど受け入れられない。でもいやな顔はされない」。それがせめてもの救いだとか。

 会では九二年から毎年夏に一泊二日のキャンプを行っている。事後の感想文には「友達ができないと思ったけど、一緒の部屋だった人とは全員友達になった」と韓国の仮面づくりやチャンゴ練習、いろんなゲームなどの遊びを通して仲間づくりが着実に進み「来年もまた来たい」と書き残す。

 今年も八月二日から三日にかけて甲山青年の家で川遊びや花火大会を楽しむ。小・中学生が対象だが、高校生になっても参加してくる子どもいる。「同胞と会うとほっとするのでは。楽しい出会いをいっぱい作ってあげたい」と兪さん。二年前から市の教育委員会が後援につき、キャンプの案内を在日同胞小・中学生に配るようになった。

 ところが、「在日がばれていじめにあったらどうするのか。責任取るのか」と抗議の声や「うちは帰化するつもり。関わりたくない」と拒絶するケースもあるという。

 「そういう親こそ来てほしい。日本人も変わらなければいけないが、在日の親も変わってほしい。そうでないと親も子も日本社会で緊張を強いられる状況から開放されない」ときっぱり。

 キャンプの申し込み、会への連絡は、0798(64)5455へ。

(1998.7.8 民団新聞)



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