民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
今こそ民族金融機関育成を


 在日韓国人の民族金融機関である信用組合は、組合員の70%以上が民団の団員で構成されている。日本の植民地支配から解放された当時、日本社会における在日同胞への就業に対する差別は言うまでもなく、日本の銀行から事業資金融資も不可能な状態の中で、同胞たちは最低の生活維持すらも厳しい困難な時期に直面していた。

 このような環境の中で零細商工人たちは、民団組織を中心にして同胞の民生安定と経済力向上を目的として民族金融機関の信用組合を創立するにいたった。


金融制度改革の是正措置

 金融制度改革による早期是正措置が今年四月から信用組合にも準用されたが、この措置の特徴は、過去に地方自治体主管の信用組合が問題を起こした際に、監督当局の対応が遅れたことに対する反省から導入されたもので、曖昧さを排除して問題の信用組合を早めに措置しようという意図が明確になっている点にある。

 具体的に言えば、(1)自己資本比率4%を基準として、その基準を割り込めば業務改善計画の提出を命令する(2)基準未達の程度によって配当制限、役員賞与の削減、資産圧縮等を命じて経営の建て直しを促す(3)自己資本比率が債務超過になれば、業務停止を命令し、破綻処理をする―等である。

 ここで問題なのは債務超過状態になると業務命令が出され、清算されるということで従来のように監督当局と相談しながら生き延びてゆくというのが不可能になった点である。日本の長期経済不況が継続している現実を見ると、私たちの信用組合の再編はやむをえない。経営の不実程度が深刻であればあるほど破綻は早まるだろう。金融制度改革が完全実施される二〇〇一年四月に対応するためには、韓信協傘下各組合の再編が当面の緊急課題である。

 二〇〇一年三月までは、預金保証機構で預金と不良債権を解決してくれるとはいうが、事業譲渡や合併が始まって清算整理の手続き業務が終わるまでには1年くらいかかる。二〇〇一年四月を基準とすると今でも遅すぎるくらいだ。


全国単一組合に再編を

 日本の場合、金融の自由化、国際化、電算化に加えて銀行、証券、生保といった業態間の垣根の見直しを柱とする金融制度改革が、信用組合にも適用されており、各金融機関が合併あるいは再編によって基盤拡大を図っている。

 時代の流れが国際化になっても、日本社会で金融機関からの融資等は目に見えない差別、偏見があるし、在日商工人の経済活動のためにも民族金融機関は必要である。

 私たちの民族金融機関は金融自由化による競争時代が始まると、地域限定と資本金の限界等が、民族金融機関としての立場を堅持しながら再編を推進するのには制約となる。従って金融環境の変化にいかに迅速に、適切な対応策を立て、それに向かって行動するかが問われている。

 再編に望まれる方向は、韓信協傘下34組合を全国単位一組合化である。その理由は資本量において分散しては競争時代に対応することはできないからである。金融界にも弱者消滅、強者存続の時代が目の前に来ているのに、大を忘れ、小にとらわれるような態度は禁物である。

 韓信協傘下のそれぞれの信用組合が、設立の原点に立ち返り、骨身を削る努力を通じて自己改革せざるをえない。これらの努力に対し、全国の民団は全同胞的な課題として声援を送るとともに、信用組合の育成強化に全力を傾けよう。

(1998.7.22 民団新聞)



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