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日本高校の韓国語講座教師 全国ネットワーク化へ

韓国文化院が研修会実施



実践通じ意見交換へ

 日本の各高校で韓国語の教鞭をとっている韓・日両国の教員が、韓国語学習者の底辺拡大を目指して、ゆるやかなネットワークを構成していくことになった。韓国文化院が呼び掛けて八月二十七日から三日間、東京のYMCAアジア青少年センターで開催した初の「高等学校韓国語教師研修会」席上、参加者の総意で確認した。今後、授業実践や教材研究など共通の課題で意見交換していくことにしている。

 研修会参加者の中には常勤講師や非常勤講師も含まれている。キャリアも様々だったが、どう授業を効果的に進めたら生徒の関心を引き出せるかで悩んでいるという点では見事に一致していた。

 兵庫県立湊川高校では、二年生から週二時間の必修科目として「朝鮮語」の授業を受けることになっている。これまで生徒の側からは「朝鮮語なんかして何になんねん、やめてまえ」という声さえあった。常勤講師として十二年の実績を誇る方正雄さんでさえ毎年初めての授業では「生徒たちの抗いを感じる」のが常だという。

 日本人生徒にすれば、韓国朝鮮語を習得しても特に社会的メリットがあるわけではない。こうした制度面での問題点が韓国語普及の大きな足かせになっていると指摘するのは去年三月、神田外国語大学を退官したばかりの金東俊氏。金氏は「センター試験に韓国語が取り入れられるよう、韓国政府に文部省と協議してもらいたい」と話す。現状では外国語を韓国語で受験可能な大学は国立では東京大学、富山大ぐらい。私立でも二松学舎大、神田外語大、和光大などにみられるだけだという。

 このほか、教育内容の面ではガイドラインが明確でなく、授業時間も限られている。この日の研修会参加者からも「少ない時間で何を教えるのか」という戸惑いの声が多く聞かれた。九八年度から「ハングル」講座を開設した尼崎市立尼崎高校で非常勤講師を務める鄭奈美さんは「マニュアルが一切ない。自分の発する言葉がそのまま子どもに伝わっていく恐さ」を訴えていた。

 それだけに三日間の「研修」を通してお互いの悩みを話し合い、意見交換できたことは参加者にとって有意義だったようだ。兵庫県立尼崎工業高校で教鞭をとっている文東載さんは「集まるだけでも意義があった」と述べた。主催の韓国文化院では底辺からの韓国語普及に向けては韓国語教師のネットワーク化が欠かせないと提案、出席者の拍手で承認された。

 韓国朝鮮語教育に取り組む高等学校は現在、百三十校。日本国内の高校生を対象にアジアの言語教育を支援している財団法人国際文化フォーラムが日本文部省の資料をもとに調べた。

 調査結果は九七年現在の数字。日本文部省調査によれば全国で百三校とされてきたが、国際文化フォーラムの最新の調査によればこのうち確認されたのは九十二校だけ。残りの十一校については九七年度、生徒が集まらなかったなどの理由で実施されていなかった。ただし、九八年度以降に復活している可能性はある。

 興味深かったのは、九八年度以降に韓国朝鮮語教育に取り組もうとしている高校が新たに二十七校確認されたこと。この結果、過去に実績を持つか現在、実施していることが確認されている学校に新設校を含めると少なくとも百三十校で韓国朝鮮語教育に取り組んでいることになる。

(1998.9.2 民団新聞)



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