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議連の地方参政権法制化決議



 韓日議員連盟と日韓議員連盟の第二十五次合同総会が九月四日から六日までソウルで開催された。

 総会では、(1)東北アジアの平和構築と多者間安保の共同協力(2)新しい事態に即応した韓日経済協力体制の強化(3)二○○二年ワールドカップ共同支援と青少年及び社会文化交流の活性化(4)在日韓国人の地方自治参政権確保と地位向上及び戦後処理問題解決の共同協力、の四点が協議された。

 本団では、特に法的地位委員会で討議された在日韓国人の地方参政権確保の問題について、合同総会で法制化に向けた具体的な決議がなされるよう強く要望してきた。

 この度の共同声明では、「両国代表は、地方参政権の問題について、法制化に向けての韓国側の要求を日本側は継続して鋭意努力する」ことが決議された。これまでと違って明確に、「法制化に向けて」という文言が入ったことは大きな前進と評価したい。この決議を内実あるものとするためには、今後議連内に、法制化論議を深める小委員会の設置が望まれる。

 地方参政権の法制化のためには、日韓議連幹部の積極的な後押しが不可欠である。本団では、韓日親善増進の指導的立場にいる議連幹部の広い包容力を期待している。


今世紀中に法制化実現を

 日本側の法的地位委員長である冬柴鐵三議員は、すでに「永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案」を起草している。

 その思想的根拠は、「地方のことは地域に住む『住民』が決定するのが好ましい。永住外国人など特別な歴史的背景のある人々に対しては、限りなく日本国民に近い扱いがされてしかるべきである」との判断によっている。

 本団では、この度の合同総会を期に、日韓議連が進んで超党派による議員立法で国会に法案を上程し、今世紀中に法制化へもっていくよう期待している。と同時に、法制化に向けた具体的で実効力を伴った作業を日本政府に強く促すことだ。

 現在、全野党が永住韓国人の地方参政権付与に賛成しており、与党も個々の議員レベルで賛同者が多い。政権を担う与党は、半世紀以上にわたる私たちの住民としての実績を評価し、また私たちの期待に答え、地方参政権の法制化を一刻も早く実行してほしい。


大統領訪日を大きな契機に

 十月の金大中大統領訪日は、過去を清算し、未来志向的な韓日関係を構築する大きな節目である。在日韓国人の地方参政権は人権問題にとどまらず戦後処理問題の一つでもあり、大統領訪日を契機に今こそ政治決着をはかるべきだ。

 これには理由がある。それは、協定永住三世以降の法的地位や処遇等を取り決めた、いわゆる九一年問題韓日覚書の最後の項目に、在日韓国人の「地方自治体選挙権については、大韓民国政府より要望が表明された」、と明記されているからである。

 すでに七年が経った。その間、永住外国人の地方参政権を容認する最高裁判決、千三百以上の地方自治体の意見書採択、また各種アンケート調査による世論の賛同など、環境は整ってきた。両国政府にはその実現のための歴史的使命があるはずだ。

 日本政府の果たすべき役割は、在日韓国人に対する政策を抜本的に改め、私たちに地方参政権を付与し、共生社会の基盤をつくることだ。そのことが、何よりも日本の利益になるのであり、私たちもさらに日本社会の発展に寄与できるのである。

(1998.9.16 民団新聞)



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