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外登法・指紋制度全廃へ

非永住者32万人も
金大統領の訪日契機に



改定案、次期国会提出

 日本政府・法務省は、永住資格の有無によって「異なる取り扱い」をしてきた外国人登録法を抜本的に見直し、改訂案を来年の通常国会に提出する。見直しの対象となるのは、非永住者に対する指紋押捺義務をはじめ、登録証の常時携帯・切替制度および刑罰制度など、外国人登録法の枠組み全体に及ぶ。金大中大統領の訪日をまえにした六日、中村正三郎法相が衆議院法務委員会で表明した。

 現行外国人登録法(一九九三年一月八日施行)では、在日同胞を中心とする入管法上の永住資格者と在留期間一年未満の外国人について指紋押捺義務を免除しているが、一年以上日本に居住する外国人約三十二万人については指紋押捺を強制している。このなかには日本人あるいは在日同胞と結婚して「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格となっている外国人も含まれている。

 日本政府・法務省は「外国人登録の正確性を期すためには、指紋制度が必要不可欠」「不法在留者が他人の登録証を入手して使用することを防ぐためには、永住者を含む長期在留外国人にこそ指紋制度が必要」と繰り返し強弁してきたことからすれば、永住者と非永住者とで適用を異にするのはいかにも不合理。こうした在留資格による取り扱いの違いは「法の下の平等に反する」とも指摘されてきた。

 また、国会での法案成立を前にしての衆議院法務委員会(九二年四月)でも、「外国人の人権を尊重して諸制度の在り方について検討し、その結果に基づいてこの法律の施行後五年を経た後の速やかな時期までに適切な措置を講ずること」との付帯決議がなされていた。今年は九三年一月の施行から数えると、ちょうど五年目の見直し時期にあたっていた。

 このため、法務省では昨年九月から今年五月にかけて、見直しに向け二カ月に一回のペースで有識者から意見を聞いてきた。中村法相の法改正検討表明は、金大中大統領の訪日も後押ししたかっこうとなった。

 外国人登録課では「制度全体の枠組み」を見なおすとしているため、非永住者に対する指紋押捺強制ばかりか、永住者にも関わる登録証の常時携帯制度や過重な罰則規定も改訂の対象となりそうだ。

 ただし、九一年一月の韓日覚書を受けて指紋制度全廃が検討されたときも警察庁の強硬な反対にあっているだけに、法務省内部では「政府部内のコンセンサスを得られるようにしなければならない」と慎重な言い回しに終始している。

(1998.10.14 民団新聞)



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