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民団大阪、全支部巡回し研修

地方参政権を再認識へ
3ヶ月半で1200人参加



民団大阪本部では地方参政権をテーマに
府下全支部を巡回し講演会を開催した(写真は泉北支部で)

 【大阪】民団大阪府本部(洪性仁団長)は、このほど地方参政権問題をテーマにした府下全支部の巡回研修会を行い、法制化に向けた共通認識を深めるとともに来年二月の府議会での意見書採択を当面の目標に、一丸となって運動を継続することを再確認した。七月一日の港支部から始まったこの研修会は、十月十六日の高槻支部まで三カ月半にわたり、三十六支部の幹部ら千二百余人が選挙権、被選挙権のほかに住民発案権など、参政権全般について学んだ。

 巡回研修会では、まず在日同胞の歴史を縦軸に、参政権獲得の意義を横軸に話を進めた。歴史面からの掘り下げでは、一九四五年八月十五日の解放後、同年十月二十三日の閣議決定で旧植民地出身者の参政権が認められながらも、直後に権利が停止され、外国人登録令施行やサンフランシスコ講和条約などにより、在日同胞の法的地位が不安定になっていく経緯に触れた。

 しかし、九一年の韓日法的地位再協議で参政権問題は「覚書」に明記されるに至り、解放後半世紀にして在日同胞の最大の運動になったとまとめた。

 意義面では、参政権獲得運動を人権、戦後処理、国際化、民族権確立の四点から迫った。「住民による自治」が地方自治の原点であることを踏まえ、共生社会実現のための住民運動として、住んでいる地域の政治に直接・間接に参与する権利であると位置づけた。

 その上で、参政権は単に選挙権、被選挙権だけではなく、生活権が脅かされた時の住民発案権や住民投票権、さらに公職者を罷免するリコールや自治体の事務、会計などへの監査請求権も含めた政治参加の権利だと共通認識を深めた。

 また、地域社会に主体的に参加する上で人権擁護、民生、児童、教育の各委員の資格も参政権獲得が前提となっていることを再確認した。

 今回の研修会では、在日同胞にとって地方参政権の獲得は、日本社会からの管理対象から共生の相手になっていく質的転換をもたらすものであり、在日同胞自身が地域社会への貢献や韓日両国の架け橋になる姿勢とも関わっていると結論づけられた。

 参加者からは「参政権は単に投票日に一票を入れるものではなく、日常生活に密着している問題であることがよくわかった」「三・四世の生活権拡充のためにも一日も早く獲得しなければと思った」「権利要求の面だけでなく、在日同胞自身が地域社会発展のために率先する『両刃の剣』だと理解した」と積極的に評価する声が相次いだ。

(1998.11.04 民団新聞)



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