民団新聞 MINDAN
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永住外国人の地方参政権
日本各界に聞く<8>

衆議院議員・中村鋭一さん(自由)



 自由党の常任幹事・国際委員長をつとめる中村鋭一衆議院議員。党内の「明日の内閣」の外交・環境大臣の要職にも就いている。政治家になる前、大阪で「おはようパーソナリティ、中村鋭一です」というラジオ番組を持っていたユニークな経歴を持つ。


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≪早い時期に法律化を≫
最高裁判決受け国会論議


■先般の金大中大統領訪日をどのように
お考えでしょうか。

 日韓共同宣言の中で、これまでの経緯を乗り越えて、今後の日韓関係を盛り込んだことは、画期的だったととらえています。宣言で大きな感銘を受けた点が二つある。

 一つは、前向きにやっていこうという姿勢であったこと。特に両国の若者が仲良くやっていこうということをうたっている。二点目は、自由と民主主義と市場経済という理念に立脚した協力関係を相互理解に基づいてさらに発展させるとしたことです。また、文化面で交流を深めていくことも記してある。

 この点が非常に良かった。韓国国民の皆さんが、単に共同声明ということではなく、心の中から両国が仲良くやっていくんだという意思表明であったし、日本の文化・芸術を受け入れていこうという方向性が出されたことに感銘を受けている。


■歴史認識の問題についてはいかがでしょう。

 今回の共同宣言に盛られたものにつきると思う。植民地支配により多大の損害と苦痛を与えた歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し痛切な反省と心からのおわびを表明した。今後は、両国が前向きに進んでいくんだという私たちの気持ちを、韓国の皆さんが受け止めていただけると有り難い。


■今後の韓日関係を「近くて近い国」にするためには何が求められるでしょうか。

 「顔会わせ、力合わせ、心合わせ」という言葉がある。人と人が付き合うために最初は顔を会わせ、次に力を合わせて取り組み、最後に心と心が合わさることが必要です。

 日韓間は顔会わせは済んでおり、力合わせは今回の金大統領の訪日で協力関係を築いていくことが確認された。あとは心合わせが求められる。そのためにはあらゆる面において交流を深めていくことが必要です。文化の面からも広く深い交流が進んでいけば、良い心合わせにつながるでしょう。

 二〇〇二年のW杯共催や急増する観光客の往来も両国にとって非常に有意義でしょう。


■金大統領も触れられたように、永住外国人への地方参政権についてはどのようにお考えでしょうか。

 個人的には、なるべく早い時期に法律によって認める方向に行かなければならないと思っている。九五年の最高裁判決でも画期的な判断が出ており、認める方向に進むのが当然だと理解している。あとは国会の論議ということになる。しかし、現在の所、自由党としてはまだ議論があって、党としての決定には至っていない。


■どのような点が問題になっているのでしょうか。

 朝鮮民主主義人民共和国が存在し、この国が日本に何の断りもなくミサイルを打ち込み、これに対して一言の謝罪もない。拉致疑惑の問題もある。そのような国を祖国とする人たちが存在する。この人たちに地方参政権を付与し問題がないかどうか、この部分の論議がまだ終わっていない。

 申告制にすれば、という論議もあるが、民主主義の根本原則である投票の権利と義務の関係からしてもなじまないという意見もある。これも無視できない意見だと思う。個人的には地方参政権を付与する方向で議論を深めながら格段の努力を図りたい。

(1998.11.04 民団新聞)



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